「人を中心としたAI」の開発に向けて、理研AIPと富士通が連携センターを開設

富士通が目指すのは「人を中心としたAI」

近年、グローバル化やデジタル化に伴い、社会・経済システムは多様化・複雑化しています。意思決定者である人間が全ての社会変化の範囲を明らかにし、戦略的な対策を取ることはほぼ不可能です。少子高齢化や自然災害など、対応が難しい社会課題に対し、的確に未来を予測し、より良い判断を行うことが求められています。

そんな中、最近注目を浴びているのがAI (人工知能)の活用です。AIは、人の判断・行動をスピーディーにサポートすることで、企業・社会をダイナミックに変革する可能性を持っています。

富士通が目指すのは「人と協調する、人を中心としたAI」。あくまでも人が中心であり、人が豊かに生きるためにAIを使っていこうとするものです。この「人を中心としたAI」を、富士通は「Human Centric AI」として体系化。AIの自律成長と人との協調による課題解決を目指し、様々な製品やサービスへの実装を開始しています。

理研AIPと連携し、的確な未来予測を目指す

このたび理化学研究所 革新知能統合研究センター(AIPセンター)と富士通は、「理研AIP-富士通連携センター」を開設し、活動を開始しました。理研のAIPセンターに結集しているAI技術の知見と、富士通の幅広いICT技術や多数のシステム開発経験を融合し、「想定外を想定するAI」の研究開発に取り組みます。

「想定外を想定するAI」とは、環境の不確実な変化に対しても、的確な未来予測に基づき、人のより良い判断を支援するAIのことです。この実現に向け、理研AIP-富士通連携センターでは、「ロバスト機械学習」「シミュレーション・AI融合」「大規模知識構造化」の三位一体の研究を進めていきます。

例えば、従来の機械学習は、膨大なデータ量や質の高いデータがなければ十分な予測能力を発揮できないという根本的課題がありますが、今回の取り組みにより、少量のデ-タや不完全なデータであっても、的確に未来を予測できることを目指します。

活用分野については、例えば下記が考えられます。

①社会インフラ分野
攻撃を検知するだけでなく、新しい手口のウィルスを検知した時に影響範囲を予想し、適切な防御と社内システムの運用継続の両立を目指します。

②ヘルスケア分野
認知症は発症の10年前から脳内で変化が起こると言われています。脳内の小さな変化を検知できるAIにより、認知症の影響が出始める前に予防や早期発見に活かすことができます。難病、希少疾患、新種のインフルエンザなど、想定が難しい状況へも応用できます。

③ものづくり分野
半導体の進化を越える想定外の新素材を発見するなど、"More than Moore(注)"を目指します。

(注) 半導体の集積密度が1年半~2年で倍になるという「ムーアの法則」から脱却し、異なる材料や機能を持つ半導体素子を1つにまとめて、新しいものを作り出そうという考え方

日本初、世界初のイノベーション創出に向けて

富士通と理化学研究所は、他にも「ディープラーニング解析システム」の構築を行うなど、AI分野では密に連携していきます。今後は基盤技術の開発から社会への実装まで一貫した研究を行うことで、日本初、世界初のイノベーション創出を目指します。