オープンデータとAIの活用で、監督官庁の意思決定を支援する技術

価値あるデータをビジネスで活用するためには?

近年、オープンデータやビッグデータの普及により、企業が活用できるデータ量が増えています。一方で、大量のデータをどのようにビジネスに活用していけばいいのか分からない。そもそも膨大なデータの中から本当に価値のあるデータをどう抽出していけば良いのか?といった課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。

欧州富士通研究所(Fujitsu Laboratories of Europe)では、オープンデータやビッグデータをビジネスに活かしていくために必要な技術の研究・開発を行っています。

オープンデータとAIの活用で監督業務が変わる

その中の一つが、監督官庁向けに開発中の「Advanced Data Analytics」です。これは、監督官庁が保有しているプライベート情報に加え、財務諸表などのオープンデータ、更にはソーシャルメディアなど異なるデータセットからデータを取り組み、機械学習やグラフネットワーク、AIエンジンによる高度な分析によって、価値のあるデータを提供するものです。

「『Advanced Data Analytics』は、システム内部に知識ベースを作り、それらを機械学習にかけることで、AIがデータ同士の関連性を提案し、新たなデータを創っていくというアイデアです」と話すのは、欧州富士通研究所 データアナリティクスディビジョンマネージャーの後藤正智。

監督官庁が保有しているデータにオープンデータを加えていくことで、これまでは見えていなかった隠れた人間関係や企業同士の関係、更には特定の地域と企業との関わりを見つけることができ、監督業務に役立てることができます。さらには、膨大な株式購入データの履歴から市場の異常な動きを分析・検知することも可能です。

財務報告書や企業情報を元に、企業の主要人物を表示可能

株価、企業のニュース、Twitter上の情報などを一つのアプリケーション上で閲覧できる

知識ベースの活用でデータクレンジング時間を大幅削減

データセットをまたいだ横断的な分析を行う際、入手したデータはそのまま使えるわけではありません。これまでは、データのクレンジングに8割以上もの時間を割かれてしまい、肝心の分析にあまり時間をかけることができないといった課題がありました。
例えば会社名。「Fujitsu」「富士通」「富士通(株)」など同じ会社であってもデータセットごとに異なる表記で記載されているケースがあります。通常のコンピュータによる処理では、これらを「異なる会社」として判断してしまうところを、「Advanced Data Analytics」では住所や代表者・社長の氏名など外部情報を引用しながら、AIによる分析を行うことで、異なる表記であっても同じ会社であれば同一と判断する高度なデータクレンジングを実現していきます。

「現在は監督官庁向けに開発を進めていますが、将来的には銀行や一般企業など、他業種の膨大なデータの分析が必要なお客様にも活用いただけるようにしたいと考えています。また、世界中のオープンデータをつなぐことで国境をまたがった関係性が見つけられないか調査を始めており、現在は日本とスペインのデータセット統合を実験的に行っています」(後藤)

膨大なデータの分析が必要なあらゆる場面で活用できる技術を目指して

「本技術は、企業のマネジメント層の意思決定時のサポートや、信用調査、他には反社会的勢力と企業とのつながりの発見などにも活用できると考えています。そのために、お客様との共創を通じて、お客様がより使いやすい形で提供していきたいです」と語る後藤。将来的には、APIとしての公開も予定している「Advanced Data Analytics」。監督業務のみならず、膨大なデータの分析が必要なあらゆるお客様に活用いただける技術を目指し、欧州富士通研究所では研究・開発を進めていきます。

後藤正智
欧州富士通研究所
データアナリティクスリサーチディビジョン
ディビジョンマネージャー
入社後、SGMLやXML、XBRLといったデータ表現形式の標準化活動を中心に研究開発に従事。2014年からはXBRL Internationalの標準化役員に就任。2001年から2009年までアメリカシリコンバレーおよびニューヨークでの勤務を経て、現在は2012年よりロンドン勤務。