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大量のエネルギーを消費するデータセンターが目指す「究極の省エネ」とは?

インターネット利用を支えるデータセンターのエネルギー問題

私たちの生活においてインターネットが欠かせないものになり、年を追うごとにインターネット上で提供されている便利なサービスは充実してきました。その利便性を裏側で支えているのがデータセンターです。データセンターとは、インターネットで提供されているサービスやアプリケーション、企業のシステムなどを稼働させている施設のこと。つまり、私たちがネット上のサービスを利用するということは、「世界のどこかにあるデータセンターに設置されているサーバを利用している」ことになるのです。

ネット利用が広がることは、データセンターの働きが増大することを意味します。その結果、「データセンターの消費する電力消費」は増加の一途を辿っています。

データセンターにおけるエネルギー問題を解決するために、富士通は「環境省・平成28年度CO2.排出削減対策強化誘導型技術開発・実証実験」に参加しています。このたび、その一環として、「データセンターの抜本的低炭素化」を目指した実証実験を開始しました。

全世界のエネルギーの2%をデータセンターが消費

データセンターが使用している電力量は世界全体のエネルギー需要に対して約2%を占めており、年間10%ずつ増大しています。そしてデータセンターにおける電力コストは、過去10年間で約8倍に増加しています。

すでにインターネット上のサービス、特にクラウドサービスは、私たちの生活、ビジネスなどに浸透しています。今後、ビッグデータや人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)などの利用によって、さらに拡大すると見込まれています。特に近年は、ビッグデータやAIなどに活用されるような、HPC(High Performance Computing)と呼ばれる高性能なサーバが急速に拡大しています。それらは処理能力が高い半面、電力消費量、発熱量も増大しており、発熱量が増えれば、冷却にかかるエネルギーも増えることになります。

これからネット利用が増えれば、ますますデータセンターの電力消費は増加します。将来のために、今、データセンターの省エネに真剣に取り組む必要があります。

冷却設備の消費電力ゼロを目指して、「PUE=1.1」の壁を超える

かねてより、大規模なデータセンターは省エネに取り組んできました。一方、中小規模のデータセンターでは取り組みが遅れているとされます。

エネルギー効率を示す指標「PUE」(Power Usage Effectiveness:電力使用効率)の観点から、データセンターの消費電力を考えてみましょう。PUEとは、データセンター全体の消費電力のうち、ICT機器の消費電力の割合を示す指標です。データセンターには、サーバやストレージなどのICT機器のほかに、冷却設備、停電対策の設備があり、それらも多くの電力を消費します。

システムを動かす以上、ICT機器に使う電力は必要です。つまり、ICT機器以外の消費電力をいかに抑えるかが、データセンターにおける省エネのポイントになります。PUEの理想値は、「データセンター全体の消費電力」と「ICT機器の消費電力」がイコールとなる「1.0」です。つまり「PUE=1.0」は、すべての電力がICT機器に使用され、冷却などでは電力を消費しないことを意味します。PUEの値が多いほどエネルギー効率が悪いことになります。

2000年代はPUE=1.3~2.0が一般的でしたが、現在では、ほとんどの大規模なデータセンターはPUE=1.1を達成し、PUE=1.0を目指した取り組みを始めています。一方、中小規模のデータセンターは今もPUE 2.0程度のところが珍しくはありません。

PUE=1.0実現の効果

EPRI(注1)によると、大規模なデータセンターは世界の0.7%であり、残りの99.3%を占めるのが中小規模のデータセンターとされています。

大規模データセンター以外では、PUE=1.1という壁を超えるのは簡単ではありません。省エネ技術を独力で開発するのは容易ではないからです。そこで中小規模のデータセンターがPUE=1.0を実現できるようにするため、汎用性の高い省エネ技術を開発するのが、今回のプロジェクトの目的です。

(注1)Electric Power Research Institute.米国電力研究所。

高発熱の高性能サーバ、低発熱のストレージを、それぞれ最適な手法で冷却

これまでもデータセンターのおける省エネ対策は研究されてきましたが、今回の実証実験で着目したのは、ICT機器の発熱レベルに応じた冷却方法のカテゴリ分けです。データセンターには、大きく3種類の発熱レベルの機器が混在しています。

データセンター内のラック当たり熱密度の分類

1つ目は、近年急増している高性能、高発熱のサーバ類(HPC)です。HPCは性能が高い分、電力を多く消費します。また発熱量も大きいため、強力な冷却も必要とします。現在は9〜15kWの電力を消費する機器が多いのですが、今後は16kWを超える機器も増えると予想され、16kWを超える機器は、従来の空冷式の冷却では限界を超えてくると言われています。

2つ目は、5〜8kW程度の電力を消費する中レベルの発熱量のサーバ類、3つ目は、低レベルの発熱量のストレージ類です。データを記録するHDDなどを搭載しますが、4kW以下の消費電力とされています。

現在のデータセンターでは、この3種類のICT機器が、同じラックの中に混在する形で運用されています。3種類の異なる発熱量の機器が混在すると、もっとも発熱するHPCを基準に冷却する必要が生じ、余計に冷却にパワーを要します。逆に言えば、低発熱の機器は必要以上に冷却されている状態と言えます。

その無駄を改善するため、実証実験では3種類のICT機器をそれぞれに異なるゾーンに収めて、ICT機器の発熱量に応じた最適な冷却手法を取ることにしました。

高発熱サーバを効率よく冷却する3つの技術

高発熱密度対応冷却方式

高発熱密度対応冷却方式。サーバをフロリナートの中に浸して冷却する。

3種類の冷却方式のうち、富士通が実証実験を担当しているのは、高発熱サーバを対象とした「高発熱密度対応冷却方式」です。これは、熱輸送効率が高く絶縁性のあるフッ素系不活性液体(フロリナート)という液体の中に、ICT機器を丸ごと沈めて冷却する方法です。フロリナートは、粘度が低く、無色透明で熱的化学的に非常に安定しており、空冷式に比べて約10倍もの熱輸送効率を持っています。ラックの中に隙間なくHPCを収納しても十分な冷却性能を確保できます。
また今回の実証実験では、フロリナートの循環に自然対流の力を用いてサーバを冷却するという、新しい技術にも挑戦しています。自然対流を用いる液浸冷却は、富士通独自の技術です。

ただし、フロリナートには様々な種類があり、それぞれに熱効率に差異があり、対流する際に渦を巻くと冷却効率が落ちるため、自然対流をするために難しい制御技術が必要です。今回の実証実験では、発熱量に応じた適切なフロリナートを選定し、さらにはシミュレーションによってその精度を上げようとしています。

中発熱密度対応冷却方式

中発熱密度対応冷却方式。フロリナートをシャワーのように滴下させる。

NTT東日本が担当する中発熱密度対応冷却の実証実験では、ラックの上にフロリナートを蓄えたオイル槽を設置し、中発熱密度サーバの基板にフロリナートをシャワーのように滴下させるという方式に取り組んでいます。重力によって自然に落ちる仕組みを採用しているので、滴下には電力は使いません。しかも仮に停電が発生したとしても、オイル槽に蓄えられたフロリナートが滴下する間は冷却が可能で、サーバがシャットダウンできる時間は十分に機能します。

低発熱密度対応冷却方式

低発熱密度対応冷却方式。ファンと自然対流の力のみで冷却する。

高砂熱学工業が担当する低発熱密度対応冷却方式では、空調を用いるものの、ICT機器に内蔵されているFANと自然対流だけで冷却します。全体をケースで覆ったラックの、前方から冷気を送り、サーバ自身に搭載されたファンと対流の力だけで空気を循環させるという仕組みです。

今回のプロジェクトでは、これらの3つの冷却方式を使い分け、極力、エネルギーの消費を抑えることで、PUE=1.0を実現し、データセンターの抜本的低炭素化に繋げようとしています。

人工知能を用いた冷却の自動調整も視野に

今後は、AIを用いた冷却の効率化も視野に入れています。冷却には気温や湿度など様々な要因が影響するため、AIによる自動調整が適しています。そのための運用ノウハウの蓄積も今回の実証実験で行う計画です。

より良い社会、環境を作るには、今からデータセンターそのものの省エネ対策への取り組みが必要です。富士通は今後も、「PUE=1.0」を実現する省エネデータセンターの実現を目指して、新たな冷却方法の確立に取り組んでいきます。

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