福岡で「移住したい町」第1位の糸島市の移住相談を、「AIマッチング」で支援

移住希望者が年々増加する糸島市の悩みとは?

福岡県糸島市は、昨今の地方移住への関心の高まりの中、「福岡ウォーカー」でも移住したい町第1位に輝き(注1)、注目度が高くなっている市です。自然や景観に恵まれ、福岡市内へのアクセスの良さもあり、移住先としての相談件数が年々増加しています。

糸島市は市域が広く、海、山、田園、市街地、離島など様々な地域特性があることが特徴の一つです。このため、移住したい人のニーズも多岐に渡り、その希望に沿った情報を正しく提供できないことが多く、結果として移住後の満足度が下がるケースが散見されることがありました。

そこで、移住希望者が望む地域特性に合った情報を的確に提供するため、九州大学、糸島市、富士通研究所は、AI(人工知能)を用いて移住満足度の向上を目指す実証実験を開始しました。(実証期間は2016年9月~2017年3月の予定)

(注1)2013年3月号特集「みんなの住みたい街ランキングin福岡」より。

データを学習し、移住希望者に最適な地域を提示するAI

データをもとに学習していくAI技術の利用は、「データが少ない」「移住希望者が移住先への希望を正確に伝えきれていない」「AIを使用することに対する心理的な障壁」などの課題があります。この課題に対し、自律的に成長するAIによって、データが少ない状況でもAIが徐々に徐々に学習。小規模データからスタートすることができます。また、単純に最適な地域を提示するだけではなく、移住希望者から得た好みを市の担当者に伝えるなど、対話をつなぐ社会的な受容度の高いAI活用を目指します。(注2)

糸島市様との実証実験 イメージ図

AI数理技術の一つである「AIマッチング」を用い、移住希望者の特性と好みの関係をモデル化し、その人に合った地域を提示します。この提示内容に対して移住希望者が評価を行うことにより、AIが好みをさらに学習。自動で数理モデルを修正して、自律成長していく技術を構築します。

今回の実証実験では、AIが機械的に希望者と候補地をマッチングすることを主眼とするのでなく、市担当者と効率的な対話を実現することを大きな狙いとしています。AIを使用する際の心理障壁を取り除き、AIを活用することで、人間同士の対話を促進し、移住希望者の満足度向上と、人と協創して社会に受容されるAIの構築を目指します。

(注2)糸島市は移住希望者・地域住民インタビューのフィールド提供および移住地域推薦のノウハウ提供を担当。九州大学マス・フォア・インダストリ研究所富士通ソーシャル数理共同研究部門と富士通研究所はAI技術の開発および社会科学の知見を用いたAI技術の評価検証を担当。

より深く知ってもらい、移住者の不安解消と満足度向上へ

今後、糸島市は、より細かな地域密着情報を提供することで、移住希望者に移住先の地域をより深く知ってもらうことを目指します。納得して転入してもらうことで、周辺住民とのトラブルを防止し、生活満足度の向上、地域活動の活発化、住民の転出抑制などにつなげます。

九州大学と富士通研究所は、ジョブ、ビジネス、医療、教育などの分野で、人間の好みや希望といった心理に関する数理モデルとAI技術を融合し、移住希望者のマッチングのみならず、多様な社会課題の解決を目指します。富士通研究所は、本実証実験の結果から自律成長AIの改善を行い、2017年度中に富士通のAI技術「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」の新技術としての実用化を目指します。