マレーシアで公共サービスのデジタル革新、技術の力で人々にパワーを

Fujitsu Asia Conference Kuala Lumpurイベントレポート

富士通は2016年10月26日、マレーシアの首都クアラルンプールで「Fujitsu Asia Conference Kuala Lumpur」を開催しました。今年のカンファレンスのテーマは「Human Centric Innovation - Driving Digital Transformation」。マレーシアにおけるICTの現状や今後の展望などについて講演が行われました。

富士通株式会社 執行役員 広瀬敏男

まず最初に登壇した富士通の執行役員Asiaリージョン長である広瀬敏男は、「アジアにおける富士通のアプローチ」と題してスピーチ。テーマの趣旨やデジタル技術について説明しました。その上で、シンガポールでの道路交通マネジメント、ベトナムでのIoTやクラウドを活用したスマート農業のパイロット事業、中国におけるスマート・ファクトリー・プロジェクトなど、アジアで既にいくつもの導入実績があることを強調し、「マレーシアでデジタル革新の手伝いをしていきたい」と述べました。

富士通マレーシア カントリーCEO フィリップ・ソー

次いで富士通マレーシアのカントリーCEO、フィリップ・ソーが登壇。「公共機関、大企業から中小企業までを対象に、自然保護、災害、医療、交通、物流、農業、教育などあらゆる分野で貢献してきた」と、マレーシアにおける富士通の19年の歩みについて話しました。

国民の行政参加に向け、オンラインサービスの利用を推進

マレーシア行政近代化管理計画院ICT部副部門長
Suhazimah Dzazali氏

ゲストとして迎えたマレーシア行政近代化管理計画院ICT部副部門長のSuhazimah Dzazali氏は、マレーシアにおける公共サービスのデジタル化について講演しました。Dzazali氏は、マレーシア国民は単純に情報を得るためだけはでなく、行政に参加する機会を創出するためにオンラインサービスを利用するようになってきていると指摘。そのための課題として、関係各所の協力・参加、信頼性の高いICTインフラの構築などを挙げました。

もう一人のゲスト、フロスト&サリバンAPAC ICTプラクティスのAndrew Milroy氏は2017年のICTシーンの展望について話しました。具体的には、
(1)デジタル化によって、既存の産業構造が破壊される「デジタル・ディスラプション」がマレーシアでさらに進行する
(2)クラウドコンピューティングの導入がこれまで以上に進む
(3)IoTによってあらゆるものがネットワークに接続される
(4)全ての企業がビッグデータを活用するようになる
(5)IoTによって新たなセキュリティ脅威が生まれる
という5項目を、具体例を挙げて語りました。

フロスト&サリバンAPAC ICTプラクティスAndrew Milroy氏

このほかMilroy氏は、マレーシアにおけるクラウド市場の規模が2016年時点で2億6700万米ドルから、今後は年率37%で成長し、2020年には12億9600万米ドルに拡大すると予想しました。またIoTによって生まれる新たなセキュリティの脅威として、ワイヤレス化により自動車、交通信号、家庭でのハッキングの危険性が高まることを挙げました。

富士通株式会社 ストラテジック・フォーサイト部門長
David Gentle

基調講演では、富士通のストラテジック・フォーサイト部門長であるDavid Gentleが登壇しました。Gentleは、インターネットからモバイル・インターネット、IoTと発展してきたネットワーク技術が、AI(人工知能)とロボットという第4の波を迎えていると指摘。安全で豊かな、そして持続可能な社会の実現に向け、デジタル技術を使って人々にパワーを与え、社会の価値を創出することが「ヒューマン・セントリック・イノベーション」であると説明しました。
Gentleは「デジタル化によって劇的なビジネス革新が可能になる」とする一方で、世界の最高経営責任者(CEO)の66%が、サイバーセキュリティがデジタル化における大きな脅威になると考えているとの調査結果を引用し、デジタル化に向けた障壁があることを指摘しました。

その上で富士通は、安全で拡張可能かつ、新しいビジネスニーズに機動的に対応できるICTインフラの導入を推進することが可能と述べ、ファッション小売り企業や国際的エンジニアリング企業でのシステムの導入例を挙げました。

「MetaArc(メタアーク)」で人と情報、インフラをつなぎ、デジタル化を支援

富士通株式会社 統合商品戦略本部AI活用コンサルティング部長 山影譲

後半のビジネスセッションでは、統合商品戦略本部AI活用コンサルティング部長の山影譲が最初に登壇。AI「Zinrai」に関し、ディープラーニングを用いた手書き漢字の認識などの実例を挙げ、その仕組みを説明しました。

富士通アジア リージョナルマネジメントサービス担当
Ker Yang Tong

続いて講演した富士通アジアのリージョナルマネジメントサービス担当であるKer Yang Tongは、クラウドやモバイル、ビッグデータ、AIなどのICTを提供するプラットフォーム「MetaArc」が、組織や産業の枠組みを越えて人と情報、インフラを結びつけ、既存ITサービスを統合するデジタル革新を成功に導くと強調しました。

富士通株式会社 統合商品戦略本部セキュリティビジネス推進統括部統括部長 瀬尾隆一

統合商品戦略本部セキュリティビジネス推進統括部統括部長の瀬尾隆一の講演は、世界のサイバーセキュリティの最新トレンドと富士通のアプローチについて。インターネット上における脅威の探知やダメージの最小化、セキュリティ人材開発への取り組みを説明しました。

富士通株式会社 セーフティソリューション事業本部長
土肥啓介

最後に登壇したセーフティソリューション事業本部長の土肥啓介は、顧客に信頼される災害情報マネジメントシステムについて話しました。ダムや河川の管理、救難指揮システム、災害情報マネジメントなど、これまでの実績を紹介しました。その上で、ASEANでは機械トラブルによって計測機によるデータ収集ができなかったり、データ収集で誤差が生じたりした例を挙げ、富士通のソリューションで解決できることを強調しました。

AI(人工知能)をはじめ注目度の高い最新テクノロジーに聞き入る

230人を上るお客様にお越しいただいたクアラルンプールでのカンファレンスは、AIをはじめ注目度の高い技術の最前線に触れる機会として、来場者の多くが熱心に講演に聞き入っていました。

講演会場の外に設けられた展示スペースと懇親会場内では、AI技術と監視カメラの映像を利用した車両認識システムや駐車場監視システムなどの最新のテクノロジーを紹介するコーナーが設けられ、多くの参加者の注目を集めていました。講演後に行なわれたネットワーキング・パーティーでは多くの参加者が熱心に意見を交換する姿がみられ、盛況のうちに幕を閉じました。

今後も、バンコクやシンガポールをはじめとした、アジア各都市での開催を予定しています。引き続き、各都市でのICTトレンドや富士通の先進事例をお届けしていきますのでご期待ください。