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ポスト「京」プロセッサの命令セットを紹介

【Hot Chips 28. 富士通講演レポート】

富士通は、米IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)主催の世界的なハイパフォーマンス・チップに関するシンポジウムである「Hot Chips 28」に参加し、ポスト「京」用プロセッサの命令セットについて講演を行いました。

ポスト「京」用プロセッサは、英国ARM社が策定した命令セットアーキテクチャをスーパーコンピュータ用に拡張して採用し、マイクロアーキテクチャの開発を富士通が行っています。

講演の中で、富士通はメインフレーム用プロセッサやUNIX用SPARCプロセッサの開発を今後も継続していくことにも言及しました。富士通が複数プロセッサを継続開発できる秘密は「マイクロアーキテクチャの共通化」にあります。

「Hot Chips 28」概要

開催日:2016年8月21日(日曜日)~8月23日(火曜日)[現地時間]
場所 :米国カリフォルニア州 Cupertino Flint Center
主催 :米IEEE
富士通講演テーマ:Introduction of Fujitsu's HPC Processor for the Post-K Computer
富士通講演者:富士通株式会社 アドバンストシステム開発本部 プロセッサ開発統括部 第一開発部 部長 吉田 利雄

講演資料:PDF Introduction of Fujitsu's HPC Processor for the Post-K Computer(225KB)

富士通株式会社 アドバンストシステム開発本部 プロセッサ開発統括部 第一開発部 部長 吉田 利雄

Hot Chips 会場(Cupertino Flint Center)

「命令セットアーキテクチャ」と「マイクロアーキテクチャ」とは?

さて、「命令セットアーキテクチャ」と「マイクロアーキテクチャ」とは何でしょうか。
命令セットアーキテクチャとは、ハードウェアとソフトウェアのインターフェースのことです。同一の命令セットアーキテクチャのプロセッサでは、OSが同一であれば同じソフトウェアを走らせることができます。arrowsやiPhoneといったスマートフォンでは、ARM命令セットアーキテクチャのプロセッサがよく使われています。パソコンは、殆どがx86命令セットアーキテクチャのプロセッサです。一方、サーバ用プロセッサでは様々な命令セットアーキテクチャが使用されています。例えば富士通やオラクルのSPARC命令セットアーキテクチャ、IBMのPOWER命令セットアーキテクチャ、そしてインテルやAMDはx86命令セットアーキテクチャのプロセッサを開発、といった具合です。スパコン用プロセッサも様々です。

ここで重要なことは、「命令セットアーキテクチャはハードウェアとソフトウェアのインターフェースを定義しているだけで、プロセッサの内部構造は関係ない」ということです。内部構造は各プロセッサベンダーが独立して決めています。例えば富士通とオラクルは同じSPARC命令セットアーキテクチャのプロセッサを開発していますが、内部構造は各々独自に設計しています。

このプロセッサの内部構造を「マイクロアーキテクチャ」と言います。マイクロアーキテクチャはプロセッサの性能や信頼性を大きく左右するため、プロセッサベンダーにとって優位性を決めるコアテクノロジーになります。

命令セットアーキテクチャとマイクロアーキテクチャの関係を自動車に例えて考えてみましょう。シフトレバーの種類(オートマかマニュアル)やハンドルの位置(右ハンドルか左ハンドル)は、人間とのインターフェースにあたります。一方、エンジンの種類(4気筒か6気筒、ターボの有無)や位置(FFかFR)は、自動車の内部構造で自動車の性能に大きく寄与します。

オートマ限定免許の人がマニュアルシフトの自動車を運転することはできません。しかし自動車の性能(速度)は、オートマかマニュアルシフトかによらずエンジン等自動車の内部構造で決まります。

プロセッサの命令セットアーキテクチャは、自動車のシフトレバーの種類やハンドルの位置にあたります。命令セットアーキテクチャが異なるプロセッサでは、同じバイナリソフトウェアは走りません。一方マイクロアーキテクチャは自動車のエンジン相当です。マイクロアーキテクチャがプロセッサの性能を決めます。

「メインフレーム」「UNIX」「スパコン」のプロセッサを手がけるのは富士通のみ

富士通は、基幹業務で使われるメインフレーム用プロセッサを開発し、その技術をUNIXサーバに転用、さらにUNIX用プロセッサで培った技術をスパコン用に応用、と言う風に開発した技術を、お互いに用いることでプロセッサ開発を発展させてきました。メインフレーム、UNIX、スパコンのプロセッサを一つのチームで開発しているのは富士通だけです。

なぜ富士通はこのような開発ができるのでしょうか。これは先に述べたマイクロアーキテクチャと大きく関係があります。メインフレーム、UNIXサーバ、そしてスパコンで命令セットアーキテクチャは異なりますが、実は中核となるマイクロアーキテクチャは共通にしています。

プロセッサは
1.命令読み込み:メモリーから命令を読み込む
2.命令解読:命令ビットパターンを解読する
3.演算実行:解読結果に従って演算する
4.結果書き込み:演算結果をレジスタに書き込む
といった作業を行います。命令セットアーキテクチャは主に 2 の命令解読に関係します。各命令の命令コード及び動作は命令セットアーキテクチャとして定義されているからです。言い換えれば残りの1、3、4は命令セットアーキテクチャとは独立しているので、メインフレーム、UNIX、スパコンで共通のマイクロアーキテクチャとできる訳です。

これは,メインフレームとUNIXプロセッサの内部構造の図です。良く似ていることが分かると思いますが、これはマイクロアーキテクチャが共通だからです。

このような開発体制を取ることで、メインフレーム・UNIX・スパコンの良いところを併せ持ったプロセッサを開発することができます。例えば富士通のスパコン用プロセッサが、他社スパコンプロセッサにはない命令リトライ機構(注1)を備えています。これは、メインフレームの技術を応用したものであり、ミッションクリティカル分野に求められる高い信頼性を実現しています。

また、UNIXプロセッサは、スパコンの技術であるSIMD(Single Instruction Multiple Data)を採用し、1度に複数のデータの演算処理を実行させることができます。SIMDはOracle Databaseと密接に連携しており、インメモリ処理をさらに高速化できます。従来と比較し、検索性能を最大300分の1に短縮したお客様の事例もあるほどです。この高速化技術により、膨大なデータのリアルタイム処理が可能となり、金融機関での不正検知や製造業での故障予測などさまざまな場面で活用が期待されます。(注2)

このように富士通のプロセッサ開発は、メインフレーム・UNIX・スパコンそれぞれの適用分野に合わせながら技術を相互に展開し、その価値を高めてきたのです。これらのプロセッサを搭載したサーバを活用頂くことで、お客様業務の最適化を実現できます。

(注1)万一計算結果に誤りがあった場合、これを自動的に見つけて再実行し誤りを取り除く機構。
(注2)「ジャパンネット銀行様、情報系システム基盤にSPARC M10を採用」 「PDF SPARC M10 の Software on Chip を活用したOracle Database 12c In-Memory のクエリー高速化(1.48 MB)」参照。

今後の継続したプロセッサ開発に向けて

富士通はメインフレーム、UNIX、スパコンと3種類のプロセッサ技術を相互に用いながら開発を進めてきました。今回ポスト「京」用プロセッサにはARM命令セットアーキテクチャを採用しましたが、これを支えるマイクロアーキテクチャは従来のものをベースにしています。このマイクロアーキテクチャをさらに発展させ、メインフレーム、SPARCアーキテクチャのUNIX用プロセッサを今後も継続して開発していきます。

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