買い物がより楽しくなる仕掛けがいっぱい! 流通業向けソリューション

【富士通フォーラム2016 展示レポート】

東京・有楽町にある東京国際フォーラムにおいて、2016年5月19日~5月20日の2日間にわたり、富士通最大のイベントである「富士通フォーラム2016」を開催しました。ここでは、展示会場の中から「小売・物流」コーナーをレポートします。

消費者・モノ・情報をつなぐこれからの流通業向けソリューション

多数の来場者で賑わう展示会場

POS端末などで収集してきた購買情報を、ダイレクトメール発送以外でも積極的に活用したい。でも、お客様の関心と異なる広告メールを届けて不快な思いはさせたくない。
また、せっかく商品に興味を持ってもらったのに、在庫状況によってはお届けに時間がかかってしまう。お客様が欲しいもの、欲しいと思ったものを気持ちよく提供するにはどうすればよいのか──。

そんな流通業の課題を解決するキーワードとして、よくビッグデータやクラウドという言葉を耳にしますが、実際はうまく活かしきれていないのが現状です。

富士通は、クラウドやモバイル、ビッグデータ、IoT、人工知能などの最先端ICTを提供するデジタルビジネス・プラットフォーム「MetaArc(メタアーク)」を基盤に、小売や物流のデジタル革新を加速化し、よりスマートな店舗やサプライチェーンの構築をサポートします。では、具体的にはどのようなソリューションがあるのでしょうか。その一部をご紹介します。

「FUJITSU Business Application Operational Data Management & Analytics for 食品」

「FUJITSU Business Application Operational Data Management & Analytics for 食品」(ODMA for 食品)では、POS端末などで収集したデータを利活用できる状態に変換(データクレンジング)し、現場に戻して売れ筋の確認や需要予測など、売上げ拡大のための高度な拡販戦略立案に役立てることができます。

複数の地域にある店舗では、店舗ごとの売上げを見ることはできても、それらをグループ化するなど総合的な利活用は困難でした。「ODMA for 食品」では、販売実績や商品のDNA(安全、高級、健康などの特性)に基づき店舗ごとの特性を決定、自動グループ化します。

さらに、その店舗がある地域の人口統計や当日の気象情報、SNSへの書き込み情報などビッグデータも取り込み、現場で利活用できる状態で分析できるので、より魅力的な商品展開を計画することができます。

ワークショップ型分析サービス「CHANNEL Value(チャネルバリュー)」も、ビッグデータ分析を店舗と消費者のより良い関係作りに役立てるソリューションです。

展示会場では、ある百貨店での実証実験の様子が説明されていました。まず、実験参加者に専用スマホアプリを提供、来館時は百貨店のWi-Fiに接続していただきます。これにより、参加者の位置情報が把握でき、どのフロアのどの店舗でどのくらい長く滞在したか、何回訪れたか、どこで購入したかなど、実証実験期間の百貨店内での行動が可視化されます。

例えば、平日に化粧品売り場から地下食品売り場へ行って商品を購入するお客様は、多分、インテリア用品には興味がないだろうと思ってしまいがちです。ところが、そうしたお客様が休日になると家具売り場に通い、何度もソファの展示を見ているかもしれません。そうした行動をとるお客様をグループ化し、次にソファ展示の場所へ来たときに購入を後押しするようなクーポンやおすすめ情報をプッシュ配信すれば、お客様はより良いタイミングでお得情報を受け取れるようになります。

鏡の前に立つと、ベストなコーディネートを教えてくれる

購入を迷う来店者を楽しくもうひと押ししてくれるのが、富士通のRFIDソリューションと「ミラーサイネージ(仮称)」、遠距離視線検出技術、人工知能(AI)「Zinrai(ジンライ)」を組み合わせたセルフ端末です。

商品を持って鏡の前に立つと、商品の詳細な情報やサイズ別の在庫数、コーディネート例などが表示される

遠距離視線検出技術。センサーで見ている場所を検知してデータとして蓄積

来店者が気になる服を持って鏡の前に立つと、洋服についたRFIDタグを読み取って在庫情報やコーディネート例が表示されます。また、その服に合わせると素敵な他の服をルーレット形式で見せてくれる「コーデルーレット」機能も備えています。

コーデルーレットは、「Zinrai」を使って来店客の属性やこれまでの購入実績、遠距離視線検出技術で取得した視線の情報、気候などを分析し、その人の今の好みに合ったコーディネートをお勧めすることも可能になります。

店員の手が足りないときの補助にもなりますし、自分でじっくり考えたいお客様であれば接客の煩わしさを感じず洋服選びができます。しかも、バックエンドとつながっているので、在庫がその場ですぐに確認できます。

目は心の鏡。視線で関心を分析、お勧め商品を表示

視線の動きや滞留時間を分析して、次のお勧めに反映

こちらは、近距離小型視線検出システム「EyeExpert」と「Zinrai」を使った展示で、ハンバーガーショップを例にしたデモンストレーションです。来店客がメニュー画面の前に立つと、その人の属性などからお勧めの商品を表示。気になる商品を画面でタッチすると、その商品の情報(例えばカロリー、人気度、素材など)が表示され、一番視線が長く留まった情報を次のお勧めに反映させます。「熟練した店員さん」が接客してくれるイメージです。
将来的にはZinraiをさらに活用して、より最適な情報提案につなげたいと考えています。たとえば、その日の天気や地域の特性に応じて提案を変化させることも可能だと思います。

自分サイズの洋服が見つかる、ECサイト連携も視野に入れた採寸アプリ

自分に合ったサイズの洋服を探せるソリューションもありました。ブランドの違いやデザインによって、普段着ているサイズの洋服がフィットしないことがたまにあります。メーカー側は販売機会を逃し、購入者は自分に合った服探しに一苦労です。

そんな問題を解決するのが、採寸用スマホアプリ「SMUGFIT(スマグフィット)」です。スマートフォンのカメラを使って採寸したい人物の正面からの写真と横向きの写真を撮影。身幅や股下など、裁縫に必要な個所に棒線が表示されるので、それを指で拡大・縮小させながら自分の体型に調整。あとは、「ゆったり」など好みのサイズ感を選べます。将来的にはECサイトと連動して、他のブランドでも体にフィットする洋服を検索できるようにと考えています。

学生の制服の仕立屋さんから始まったジャストフィットな洋服作りを支援

採寸アプリ「SMUGFIT」画面

もともと「SMUGFIT」は、岡山県の学生服の仕立屋の課題解決で開発されたアプリ。岡山県のある学校では新入生の制服を作るとき、全員を体育館に集めて一斉に採寸していたそうです。でも、学生は自分の番が来るまでずっと待っていなければならず、仕立業者も100人近くを一気に採寸しなければならないため、大変な作業だったとのこと。このアプリを採用することで、学生さんも仕立屋さんも時間や手間を最小限に抑えながら制服を仕立てられることができ、とても好評です。

「カルガモ機能」の台車ロボットも

検品と仕分けロボットで自動化

物流でも、富士通は作業の効率化に取り組み、実現しています。例えば、物流センター管理システム「FUJITSU ロジスティクスソリューション Logifit WM」と検品・仕分けロボットを組み合わせることで、物流センターにトラックで運ばれてきた商品を検品し、出荷のためのピッキング作業が効率化できます。

物流支援ロボット「CarriRo」

今回の出展では物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」が登場しました。これは、作業員が持つセンサーに反応し、そのあとを追尾する「かるがも機能」を実装した台車ロボットです。これまで作業員が運べる台車は1台が限度で、ピッキング作業に時間がかかっていました。かるがも機能を使うことで、一人で2台を操ることが可能になり、従来の倍の作業をこなせるようになります。これまでの作業フローを大きく変えることなく、作業を大きく効率化する、今後普及が期待されるソリューションです。

展示では、データ化されたヒトやモノの膨大な情報、そして視線検出デバイスなどのIoTをうまく活用し、これまで見えていなかった消費者の心や気持ちの移り変わりを可視化、新たな発想へとつなげる実例を見ることができました。特に小売業の展示では、消費者として「こんな仕掛けのある店舗ならぜひ行ってみたい」と思える魅力的なソリューションばかり。外出先の店舗で富士通の新たなソリューションを目にする未来は、すぐそこまで来ているようです。