牛1頭ごとの歩数をクラウドで管理。人工授精タイミングを検知して、畜産業農家の経営を支援

牛の発情期をITで検知するサービスとは

家畜を育てる畜産業は、私たちが生きていくために不可欠な肉や乳製品を作る重要な産業です。しかし、国内の畜産業界を取り巻く環境は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の締結、エサとなる飼料の価格高騰、安価な輸入牛肉の流通など厳しさを増しています。

そのような状況の中、多くの畜産農家は、経営の効率化や生産性の向上に取り組んでいます。ただし、そこにも課題があります。例えば、肉や牛乳の生産性を高めるには牛の出産数を増やさなくてはなりませんが、牛の発情期間は12〜18時間と短いこともあり、発情状態の牛を正確に把握するのが困難でした。

富士通では、発情状態にある牛を発見し、その情報を畜産農家にメールで伝えるサービス「食・農クラウド Akisai牛歩SaaS」(以下、牛歩SaaS)を提供しています。

発情期が近づくと歩数が増えることに着目

牛一頭ごとに歩数計を取り付け

牛歩SaaSは、牛は発情期が近づくと「歩数」が増えることに着目したサービスです。牛一頭ごとに歩数計を取り付け、歩数データから発情の兆候を把握し、畜産農家の携帯電話やスマートフォンにメールで通知します。これにより、夜間に牛舎を見回って一頭ずつ牛を確認する必要がなくなり、最適な種付けタイミングを把握し、高い確率での繁殖が可能になりました。

「牛歩SaaS」の概要

国内外で運用や実証実験を展開し規模を拡大

歩数計を装着した牛

牛歩SaaSの導入によって、ある畜産農家では、1回の種付けにおける受胎確率が44%から約90%にまで向上しました。乳用牛なら受胎によって乳が出るようになるので、乳量の確保も期待できます。牛の歩数情報を管理することにより、牛のケガや病気の兆候を推測することが可能になります。

現在、国内では、北海道、東北、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄など全国の畜産農家が牛歩SaaSを導入しています。
北海道のノベルズデイリーファーム様では、約1,150頭(2016年4月1日時点)の牛に歩数計を装着したことで、発情期の迅速な検知が可能になり、産乳量の増加を実現しています。今後、4,000頭にまで規模を広げていく予定です。

マイクロソフト社との連携による”Connect Cow“

海外では、韓国で4つの牧場が牛歩SaaSを導入・運用をしており、欧州では、ポーランド、トルコ、ルーマニアで実証実験を実施しています。

特にポーランドにおいては、国立動物研究所が他社製品との比較を行い、牛歩の発情発見率が他社に比べ高かった為、高く評価しています。また、トルコからも現地の畜産組合が日本の導入農家を訪問し、強い関心を持たれています。

トルコ、スペインでの展示会等の活動も活性化しており、2016年度、欧州の商用化を開始する予定です。
また、マイクロソフト社との連携も進めており、“Connected Cow”としてプロモーション展開を行っています。