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生物多様性の保全に向けて現地に行かなくても生息数が予測できる新技術とは?

ニホンジカの増加によって日本中で深刻化する「食害」

北海道から九州など、幅広い地域に分布し、日本人にとっては馴染みの深いニホンジカ。近年、日本では生息数が急速に増加しています。その背景には、耕作放棄地の増加、猟銃所持者の減少と高齢化、暖冬による死亡率の減少など様々な理由が挙げられます。環境省の調査によると、日本におけるニホンジカの生息状況は、ほとんどの県で増加傾向であり、「ニホンジカの地理的な生息分布の拡大状況」では、1978年から2014年までの36年間で約2.5倍に拡大していることが明らかになりました(注1)。

生息数の増加に伴い、ニホンジカの増加によって起こる「食害」の被害が年々深刻化しています。苗木だけではなく、木の枝葉や樹皮が食べられることで起こる森林の破壊、希少な高山植物からなる南アルプスなどのお花畑が食べつくされることは自然保護の観点だけでなく、観光にとっても大打撃です。ニホンジカが下草を食べつくすことで、表面の土砂が流出して河川を汚濁する環境被害のほか、土地の地盤が弱くなり土砂崩れなどの災害の原因ともなり、人的経済的被害も引き起こします。

このような背景から、2015年5月の改正鳥獣法の施行を前に、環境省が近年急増し農作物や生態系に大きな影響を与えているニホンジカを「指定管理鳥獣」に指定したことにより、国に加え都道府県などの自治体が主体となった対策が進められています。

環境省や自治体は、これまでニホンジカの対策を有効に実施するため、対象となる地域に直接調査員を派遣し、生息調査を行っていました。しかし、ニホンジカの生息範囲の拡大を受け、より広域な地域で調査ためには、多くの期間や調査員が必要であることや、調査員が立ち入るのが困難な場所での調査をどのように行うかが課題とされていました。

(注1)出典:環境省ホームページ


現地調査をすることなく生息可能数を予測する技術を開発

本技術によるニホンジカの生息可能数の予測

このたび富士通研究所は、哺乳動物の平均的な体重と公開されている植生や土地の用途などの情報から、哺乳動物の生息可能数を予測する技術を開発し、山梨県甲府市の10km四方の地区で、ニホンジカの生息可能数を予測しました(図2)。植生・土地利用図、地形図から、ニホンジカの生態を想定して、①生息に適した生息地、②適さない非生息地、③適してはいないが移動に利用できる通路の3つに分け、通路で連結した生息地を抽出、ニホンジカの生息密度と体重の関係式を当てはめることにより、1km四方に区切った区画ごとの生息可能数を算出します。

山梨県での実証で、技術の精度向上を目指す

実証対象とする地区

この技術を用いて富士通は、森林の状況やニホンジカの生態、生息について研究している山梨県森林総合研究所の協力を得て、2016年1月から9月までの期間、山梨県内の10km四方8か所以上を対象に実証を行います。
山梨県森林総合研究所が所有している現地調査員による目撃数や糞の分析など、ニホンジカの生息状態に関する現地調査データによる生息推定値と本技術による予測数を比較、解析を行い、本技術の精度向上を目指します。

生物多様性保全への貢献に向けた取り組み

本実証により、調査データを取得していない地域、これまで調査員による立ち入り調査が困難な地域においても、ニホンジカの生息可能数予測ができるようになります。広域の予測結果に基づくニホンジカの定住地や移動経路の推測から行動範囲を制限するための棚を効果的に設置するなどの対策が可能になり、これまでの課題を解決できることが期待されます。
今後、ニホンジカ以外の哺乳動物にも適用範囲を広げることで、ICTを利活用した生物多様性保全への貢献を目指します。

富士通は、2009年に「生物多様性行動指針」(注2)を策定しました。今後も、事業活動とともに、社会における生物多様性の保全と、その持続可能な利用を実現するため、ICTを利活用して積極的に取り組んでいきます。

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