特別支援教育の子どもたちが「ともに学べる」環境の実現へ向けて

特別な支援が必要な子どもたちの教育を支援

現在、日本では障がいのある人たちの社会参加を可能とする取り組みが積極的に進められています。2014年1月20日には、国連の「障害者権利条約」を批准。日本は「身体の障がいを理由とする差別はしない」と世界に宣言しました。それに伴い、「障害者差別解消法」が2016年4月1日より施行されます。

この動きは教育現場にも表れています。文部科学省は、教育の平等を実現するため、障がいのある子もない子も共に学べる「インクルーシブ教育システム」の構築を進めています。

インクルーシブ教育システムの推進には、障がいのある子どもたちが十分に教育を受けられるようにするため、一人一人の障害の状態や教育的ニーズに応じて提供される「合理的配慮」と、その基礎となる教育環境の整備である「基礎的環境整備」が重要です。それらを効果的に実現する手段の一つとして注目されているのが、ICTの利活用です。

香川大学と「ともに学ぶプロジェクト」を推進

香川大学と富士通は、香川県教育委員会の協力を得て、特別支援教育におけるICT利活用の共同研究「ともに学ぶプロジェクト」を、2016年1月7日~3月31日までの約3カ月間、香川県内の特別支援学校(注1)4校(注2)において実施しています。これは、知的障がいや肢体不自由、病弱や身体虚弱など、特別な支援が必要な児童生徒の教科学習や生活単元学習、自立活動などにおいて、インクルーシブ教育システムにおける、合理的配慮の提供とその基礎となる環境整備にあたって有効な、ICT利活用モデルを開発することを狙いとしたものです。

香川大学においては、特別な支援が必要な児童生徒の学習や学校・家庭における生活の質を向上するためのアドバイスを行います。また、特別支援学校教員、保護者へのヒアリングを定期的に行い、今回整備したICT環境の活用状況と効果を評価し、今後のインクルーシブ教育システムの構築に活用します。

一方、富士通では、協力校4校の小学部から高等部のうち4クラスのICT環境を整備し、今後のインクルーシブ教育向けのICT環境構築モデル化を学習履歴の管理を効率的に行える「FUJITSU 文教ソリューション K-12 学習情報活用 知恵たま」を中心として検討していきます。また、発達障がいや知的障がいがある子どもたちが、自分自身で気持ちを表現できるように支援する「コミュニケーション支援ソフトウェア」などの研究開発を行います。

「コミュニケーション支援ソフトウェア」画面イメージ

(注1)視覚障がい、聴覚障がい、知的障がい、肢体不自由、病弱の障がい種別を対象とし、比較的障がいの程度が重い子どものための学校。
(注2)香川県立高松養護学校(肢体不自由特別支援学校)、香川県立善通寺養護学校(病弱特別支援学校)、香川県立香川中部養護学校(知的障がい特別支援学校)、香川県立香川西部養護学校(知的障がい特別支援学校)の4校。

インクルーシブ教育システムに向けたICT利活用モデルの開発を目指して

香川大学と富士通は、2010年度より、特別な支援を必要とする子どもたちへのICTを利活用した支援についての共同研究に取り組んできました。最近では「特別な支援を必要とする子どもたちへのスマートフォン活用の共同研究」(2011年)や「障がい児向け教育用ソフトウェアの実証実験」(2013年)などを実施しています。今回の「ともに学ぶプロジェクト」は、こうした取り組みの一環です。

富士通では今後、富士通は、本プロジェクトでの検証結果を初等中等教育分野向けのソリューションにも活用していきます。