ベトナムにおける農作物の安定供給を目指し、「日本式農業」の実証を開始

安全安心で気候状況に左右されない農作物の収穫を目指して

ベトナムは南北に細長く、国土の4分の3が山地、丘陵、台地から成り、変化に富んだ気候によって、広範な農作物が生産されています。農作物はコメのほか、さとうきび、キャッサバ(タピオカの原料)などの生産が盛んで、コーヒーはブラジルに次いで世界第2位の生産量です。えび、いか等の水産物も貴重な輸出品となっており、日本へも多く輸出されています(注1)。

ベトナムでは、安全安心で外観や栄養価に優れた農作物の生産が課題となっています。また、ベトナム特有の「乾季」と「雨季」に収穫量が左右されることも多々あり、安定した供給が求められています。このため、農作物の安全性と生産性の向上を実現する「フードバリューチェーン」(注2)の構築が急務となっており、JICA(注3)ベトナム事務所様は、日本の農業分野でのICT技術の活用を提言しました。

(注1)出典:農林水産省ホームページ新しいウィンドウで表示
(注2)農場から家庭までの、食料の供給と消費に関わるステークホルダーのネットワーク。
(注3)独立行政法人国際協力機構。

ICT環境を提供し、日本式農業の指導

全体イメージ

このたび、富士通、富士通ベトナム、イオンアグリ創造様の3社は、JICAベトナム事務所様の支援を受け、ハノイ近郊のハナム省において、農業ICTソリューションを活用し日本式農業(日本の技術を用いて安全安心かつ高品質な農作物を栽培する農業)の有効性を評価する実証事業を開始しました。加えて、ベトナム政府女性連合の調査員がスマートフォンアプリを利用し、農作物の市場価格情報を集約する実証事業も、2016年1月19日より開始しています。

富士通と富士通ベトナムにおいては、ハナム省に1000平方メートルの試験場を設け、「農作業履歴」「生育状況」「栽培環境情報」のデータを収集するシステムを構築し、スマートフォンアプリを含めたICT環境を提供します。また、イオンアグリ創造様においては、ハナム省現地での農業指導に加え、施肥手法やGLOBAL G.A.P.(注4)などの講習会を実施するほか、日本からインターネット経由でデータを共有しながら、日本式農業の指導を行います。

(注4)GAP(Good Agricultural Practices)は、農業生産の環境的、経済的及び社会的な持続性に向けた取組み。GLOBAL G.A.P.は欧米を中心に普及している、実質的なGAPの世界水準規格。

農作業情報収集アプリ-農作業情報登録画面と農作業履歴一覧表示機能

農作業情報収集アプリ-画像詳細表示画面と農作業時間グラフ

市場価格情報収集アプリ-市場価格情報入力画面、他

ベトナム農業におけるフードバリューチェーンの実現に向けて

従来、ベトナムの農産物流通は、卸を数回はさむなど複雑な形式のため、農家が自分の農作物がいくらで売られているか把握できないのが実情でした。今回のフードバリューチェーンにより、農家は店頭価格を知ることができ、農作物を計画的に栽培できるようになります。また、日本式農業を行うことにより、安全安心で外観、栄養価に優れた農作物の安定供給につなげることができます。

富士通、富士通ベトナムの両社は、これらの実証事業を通じて、2016年3月までベトナム農業に有効な技術や手法を分析する予定です。今後は、JICAベトナム事務所様と共に、ベトナムにおける安全性の高い農作物の生産性向上と安定供給を実現するフードバリューチェーンの実現に貢献していきます。

現地の方がしっかり管理

ビニールハウスの中の作業風景

スマートフォンのアプリを活用

手前からチンゲン菜、ほうれん草、人参、枝豆。左のビニールハウスでオクラ、小松菜を栽培

枝豆の畑

ベトナム、日本の国旗と共に富士通のロゴが表示されている