スマホの充電時間が従来の3分の1に! 世界最小・最高効率のACアダプターを開発

携帯電話の小型化を実現した化合物半導体「HEMT」

近年、スマートフォンや携帯電話、タブレット、モバイルバッテリーなど、充電池を持つ様々なモバイル機器が急速に普及しており、契約数は1億5,149件と言われています(注1)。モバイル機器を使用する際、課題となるのが「充電時間」と「大きさ」。モバイル機器を充電する時は、どうしてもバッテリーが熱くなってしまいますが、エネルギー変換効率を100%に近づけることで、充電時間を短くし、さらにバッテリーの小型化につなげることができます。

富士通が1980年に開発した化合物半導体「HEMT」(注2)は、2種類以上の元素からなる半導体(化合物半導体)を利用した電界効果型トランジスタで、携帯電話や衛星のパラボラアンテナの小型化に寄与しています。他にも、衛星放送の受信機や携帯電話、GPSを利用したナビゲーションシステム、広帯域無線アクセスシステムなど、IT社会を支える基盤技術として広く利用されています。最近では、従来の半導体材料に比べてより高い電圧で動作が可能な「GaN-HEMT」(ガンヘムト:窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ)が注目されています。

(注1)総務省報道資料「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(平成27年度第1四半期(6月末))より。携帯電話・PHS・BWAの加入数の合計。

(注2)High Electron Mobility Transistor(高電子移動度トランジスタ)。1980年に富士通研究所の三村高史が世界に先駆けて開発した化合物半導体。代表的なものにGaAs(ガリウムひ素)、InP(インジュウムリン)などが挙げられる。

電源効率が高く、充電時間が3分の1、大きさが約半分のACアダプター

GaN-HEMT ACアダプター

このたび富士通研究所は、スマートフォンなどの急速充電を可能にするACアダプターを開発しました。スイッチ素子に動作抵抗の小さいGaN-HEMTを使用することにより、従来発生していた高速動作の際の損失電流発生を抑制でき、GaN-HEMTの持つ低い動作抵抗を活かしながら適切なタイミングで電流を出力します。これにより、家庭用コンセントから充電した場合、充電時間は従来の約3分の1(注3)、大きさは約半分となります。なお、12ワット(W)出力のACアダプターでは世界最小の本体容積(15.6cc)であり、電力効率は他社に比べて非常に高く(87%)、世界最高レベルとなります。

今回のACアダプターを広く適用することにより、無駄な電力消費の抑制につなげるとともに、CO2の削減にも貢献することができます。富士通研究所は、本技術のさらなる小型・高効率化を進め、2017年度中の実用化を目指します。今後は、より高出力な回路の実現も併せて検討し、ノートパソコンなどへの展開も進める予定です。

(注3)充電する機器に依存します。