ロボットは東大に入れる?! 人工知能プロジェクト「東ロボ」で数学の偏差値が大幅に向上

数IIBの模試で偏差値65.8を獲得

「東ロボ」という言葉を聞いたことはありますか? 東ロボとは「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトの略称 で、国立情報学研究所(NII)の新井紀子教授を中心に、2011年4月にスタートしたものです。その後、NIIの数学チームに富士通が参画し、現在、名古屋大学を加えた3団体を中心に共同研究を行っています。

「東ロボ」が目標にしているのは、「2016年度までに大学入試センター試験で高得点をマークする」ことと、「2021年度に東京大学入試を突破する」ことです。2013年度からは毎年模試に挑戦し、1年間の研究成果を評価検証しながら技術課題を抽出しており、2013年度の東大入試プレ(模試)において、文系は4問中2問、理系は6問中2問を完答し、偏差値約60を獲得しました。

今回「東ロボ」では、ベネッセコーポレーションの「進研模試 総合学力マーク模試」に挑戦。数学チームは、数IA、数IIBに取り組み、AI(人工知能)プログラムによる自動求解の結果、数IAで偏差値64.0(75点)、数IIBで偏差値65.8(77点)を獲得しました。2014年度と比較すると、 数IAで17.1ポイント、数IIBで13.9ポイントと、大幅に偏差値が向上したことになります。

センター模試(数学)の偏差値の推移

新たな数式処理プログラムにより、更なる高得点を獲得

東ロボで作成しているシステムの問題の解き方は、自然言語や数式で表現された数学の問題文を、計算プログラムで実行可能な形式に変換し、数式処理のプログラム(ソルバ)を使います。2014年度までは、限量記号消去(注1)と呼ばれる技術を適用したソルバで問題を解いていましたが、試験時間内に計算が終わらないことと、適用できないために解けない単元があるなどの課題があり、より高得点を狙うためには新たな対策が必要でした。

今回の偏差値向上は、数式の変形によるソルバの高速化と、これまで扱えなかったいくつかの単元向けのソルバを新たに開発することにより達成したものです。

(注1)QE(Quantifier Elimination)と呼ばれ、等価な数式に変形しながら解を導く数式処理技術。

数学問題を解く手順

「東ロボ」を通して、言語処理技術や数理技術の開発を推進

今後、「東ロボ」の数学チームでは、言語処理段階における問題文の表現の仕方や、数式処理段階での手順の工夫など高度化のための研究開発を進め、自動求解にかかる時間の低減や現在対応していない単元への自動求解も順次進めていきます。また、問題文を形式変換する言語処理の一部で人により補助している部分の自動化も目指し、技術開発を継続していきます。

富士通研究所では、「東ロボ」を通して、深い言語処理技術や高度な数理技術の開発を推進し、社会受容性を考慮したヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティに必要な人工知能の技術開発を継続していきます。

「東ロボ」プロジェクト理数系チーム(提供:あしたのコミュニティーラボ 撮影:川本 聖哉)