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「富士通IoT・ビッグデータ活用フォーラム2015」取材レポート

2015年11月5日(木曜日)、東京・ベルサール汐留で「富士通IoT・ビッグデータ活用フォーラム2015」を開催しました。ビッグデータやIoT、今注目を集めているAI(人工知能)まで、富士通グループの先進的な取り組みを紹介した本フォーラムについてレポートします。

IoT・ビッグデータ活用でイノベーションが起きる

富士通株式会社 執行役員常務 阪井洋之

はじめに、当社執行役員常務の阪井洋之より、富士通が考えるデジタル革新についてお話ししました。
阪井は、「デジタル革新は、すでに全ての企業にとって大きな課題になっている」と前置きした後、生産ラインの多様なデータを統合することで生産実績の情報を見える化し、これまでの6分の1程度の時間でボトルネックを突き止めることができるようになったオムロン様の事例や、種苗会社から自治体、学術機関まで、食・農全体の様々な知見を融合した磐田市様の「スマートアグリカルチャー」などを紹介しました。また、お客様のデジタル革新を実現するため、クラウドをベースに最先端技術を実装したデジタルビジネス・プラットフォーム「MetaArc(メタアーク)」や、富士通が30年以上にわたり培ってきたAI(人工知能)に関する知見や技術を体系化した 「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」、オープンイノベーションの実現に向けた取り組みなどについて、ビデオを交えてご説明。「富士通はお客様と共にデジタルビジネスを革新していきます」と決意を述べました。

東京大学 先端科学技術研究センター 特任教授/情報未来創研 代表 稲田修一 氏

次に基調講演として「IoT・ビッグデータ活用でイノベーションが起きる」と題し、東京大学先端科学技術研究センター特任教授の稲田修一氏にご登壇いただきました。
稲田氏は、「今後10~20年の間に、アメリカの半分の仕事は自動化される」と書かれた論文を例に挙げ、「今まで人間がやっていた知的な仕事は、沢山のデータを分析できるコンピュータの方が優れている。代わりに人間は、機械ができないこと、例えばモノの設計や製造工程の高度化など、頭で考える仕事にシフトしていくべきでしょう」と述べました。また、IoTやデータ活用でイノベーションを起こす秘訣として、「単にデータを取るだけでは、全くイノベーションは起こらない。どういうエクスペリエンスや感動を伝えたいか。それが分かって初めて、イノベーションが起こります」と語りました。「効果を事前に推し量ることが難しい「イノベーション」を生むデータ活用は、費用対効果で考えてはいけない、まずやってみて、少しずつ成功に近づける必要がある。さらに、今はビジネス革新のスピードが早くて、自分たちだけではスピードについていけません。いろんな人の知恵や技術を借りて、時代に対応するための変革を行っていく。それが21世紀のビジネスの特徴」とし、基調講演を終えました。

AIや交通・クルマ・・・IoT・ビッグデータ活用の最新事例をご紹介

基調講演の後に、セミナーセッションが開催されました。ものづくりやマーケティング、医療、交通・クルマ、社会インフラなど、様々な業種におけるIoT・ビッグデータ活用の最前線をお伝えします。

IoTが進化させる安心・安全な職場と社会のイノベーション 「現場作業」や「見守り」をセンシングデータ分析で強力サポート

富士通株式会社 ユビキタスビジネス戦略本部 IoTビジネス推進統括部 統括部長 後藤博之

当社 IoTビジネス推進統括部 統括部長の後藤博之からは、富士通がお客様と取り組む"人"の安心・安全を支えるヒューマンセントリックIoTについて紹介。位置情報やバイタル情報など、取得した多種多様なセンサーデータを解析し、価値のあるデータとして提供するIoTパッケージ「ユビキタスウェア」について説明しました。ユビキタスウェアの特長は、独自のアルゴリズムで人の姿勢や移動方向、歩数などを3次元で立体的に捉えられることです。
具体的な活用事例として、運転中のドライバーの耳に装着するだけで脈波から眠気の傾向を検知し、安全運転を支援するウェアラブルセンサー「FUJITSU Vehicle ICT FEELythm(フジツウ ヴィークル アイシーティー フィーリズム)」や、バイタルセンシングバンドを用いてパルスや活動量などから工場現場の熱中症対策ができる現場安全管理ソリューションなどを紹介しました。

人工知能(AI)が描く未来

富士通は、1980年代からAIの活用について研究を継続しており、この度AIに関する技術を体系化したZinraiを発表しました。Zinraiは、知覚・認識、知識化、判断・支援の機能と、それらを高度化し成長させる学習機能と先端研究で構成されています。富士通研究所 取締役の原裕貴は、「AIというと人が支配されたり、機械が勝手に動くというイメージがあると思うが、富士通が目指す方向性は、人を中心としたヒューマンセントリックなAIであり、更にはどんどん成長し賢くなるAIです」と紹介。続けて、「今後このAIを様々なソリューションやサービスに組み込み、ものづくりや都市交通、医療、金融などの分野にも提供範囲を広げていきます」とお話ししました。また、今後多くのお客様に最適に富士通のAIをご活用いただけるよう、「2015年12月よりAI活用 コンサルティングサービスの提供を開始し、約200名のAI研究者や技術者、キュレーターと共にAI専任技術コンサルタントが、お客様の最適なAI活用シナリオを立案していきます」と述べました。

株式会社富士通研究所 取締役 原 裕貴

続いて、富士通研究所 知識情報処理研究所 プロジェクトディレクターの岡本青史からは、具体的なAIに関する技術と活用事例を紹介しました。Zinraiの特長として、人のように五感を駆使して人の感情や気づきまでも処理する「感性メディア技術」、人が理解する知識だけではなく機械で処理できる知識を創り出す「知識技術」、スーパーコンピュータなどを活用して社会やビジネス上の課題を数理的に解決する「数理技術」という、3つのコア技術が挙げられます。さらに日々の学習により有益な知識やパターンを導き出し、AIの成長を支える「学習技術」により、Zinraiは成長を継続していきます。

「Human Centric AI Zinrai」の構成要素

株式会社富士通研究所 知識情報処理研究所 プロジェクトディレクター 岡本 青史

会場で特に注目を集めていたのがこの「学習技術(Deep Learning)」です。Deep Learningは、人の脳の神経細胞(ニューロン)とそれをつなぐシナプスなどの神経網を数学的にモデル化したニューラルネットワーク(NN)の最新技術です。岡本は、富士通研究所の独自技術としてニューロン数110万、シナプス数7億3,000万にも及ぶ数で構成されるNNのモデル構築の自動化を挙げました。この技術を活用した事例として、物体の認識に必要な特徴を自動的に獲得し、しかも高い精度で判別できる画像中の物体認識についてデモを交えて紹介しました。また、人の声から感情/意図を抽出しストレス状態を検知する感性メディア技術を活用した研究や、高速並列数理技術を用いたスパコン上の高解像度な「津波浸水シミュレーション」、知識技術を活用した事例としてはLOD(Linked Open Data)で地域特性を可視化する「EvaCva」サービスなどAIを活用した様々な事例を紹介しました。

世界に拡がるIoT時代のスマートモビリティ

富士通株式会社 イノベーションビジネス本部 本部長 山口裕久

イノベーションビジネス本部長の山口裕久からは、モビリティプラットフォーム「SPATIOWL(スペーシオウル)」を適用した安心・安全な交通社会、町づくりの事例や実証実験を紹介しました。SPATIOWLとは、センサーや車両、人からの位置情報を活用した富士通のクラウドサービスです。従来、個別で扱われてきた大量の位置情報を、クラウドをはじめとするICTインフラのデータベース上に収集・集約、集まったデータを分析して、お客様に価値のあるサービスとして提供するものです。今、国内外で、このSPATIOWLを活用し、安心・安全な町づくりや交通社会の実現に向けた新しい取り組みが始まっています。

山口は、具体的に4つの適用例「見守りサービス(安心・安全)」「住民サービス(オープンデータ活用)」「人流・行動可視化(マーケ、業務改善)」「都市モビリティ(交通マネジメント)」を紹介しました。たとえば、住民サービスへの適用例として山口がとりあげたのは、日本一子育てしやすい町づくりをめざしている川崎市様の取り組み。これまで子育てに係わるイベントは、様々な部署や団体が主催しているため、取りまとめが煩雑になっていて、「利用者が知りたい情報を探しづらい」といった意見が寄せられていました。この課題を解決するために提供されたのがSPATIOWLを活用した子育て支援アプリです。自治体様が保有する施設や子育てイベントなどの公共データを、機械で判読できるデータ形式で管理し、SPATIOWLが管理する位置情報とかけあわせ、スマートフォンのアプリを通じ、イベント情報やお出かけスポット情報として利用者に提供。利用者は、いつでもどこでも子供の年齢や居住地にあった子育て情報をまとめて入手できるようになりました。

海外事例としては、インドネシアでのスマートフォン活用による交通モニタリング、台湾におけるバスプローブデータの活用、中国における映像からの交通センシングの事例を紹介しました。SPATIOWLは混雑や渋滞の緩和にも貢献しています。現在シンガポールにおいて混雑緩和のためにICTを使う実証実験を行っています。交通データ、人の行動データ、オープンデータ等のビッグデータを収集、リアルタイムで処理。現在の最適なアクションや、将来の予測を提示することで、人々の行動選択に働きかけ、混雑や渋滞の緩和に貢献します。
最後に山口は、「皆様のサービスや知見と、富士通の技術で一緒にビジネス協業を実現して参りたいと思います」というメッセージで講演を結びました。

展示コーナー

展示デモコーナーでは、センシング技術を応用したユビキタスウェア、人や交通機関のリアルタイムな位置情報活用(SPATIOWL)等、富士通のIoTの取り組みや、IoT活用モデルが分かりやすく紹介しました。また、「Zinrai」の機械学習技術を組み込んだビッグデータ利活用ソリューション「FUJITSU Business Application Operational Data Management & Analytics」等も紹介され、IoTの活用が私達の生活により身近になってきているというイメージができるようになっていました。6つのデモブースには、これらのIoT活用ソリューションの実例や最新の技術を体感しようとする熱心なお客様で賑わっていました。

FUJITSU IoT Solution ユビキタスウェア

ユビキタスウェアを組み込んだデバイスとして、建設・製造・農業などの作業者の状態や姿勢・動きから健康状態を監視したり、事故・転倒等を把握することで安全管理に活用できる「バイタルセンシングバンド」、病院や商業施設などで人の移動経路やモノの位置を高精度に把握できる「ロケーションバッジ/タグ」、高齢者の暮らしを発声・咳・寝息など「生活音」から分析し、その状態を把握する「遠隔見守りステーション」の紹介しました。

ユビキタスウェアデバイス(左:ロケーションバッジ、中:バイタルセンシングバンド、右: 遠隔見守りステーション)

バイタルセンシングバンドを装着した人形

ユビキタスウェアが可能にするビジネス・社会の革新デモブース

ロケーションバッジ

工場製造ラインのスマートな見える化

工場製造ラインのスマートな見える化デモブース

ここでは、富士通アイ・ネットワークシステムズの山梨工場での実践とノウハウに基づいた「工場の見える化」の取り組みを紹介しました。モニターには、実際のプリント基板の製造ラインの工程状況がグラフで表示され、どの工程で滞留が発生しているのか、経営者、現場管理者、作業員の間でリアルタイムかつ、デジタルに共有・可視化できるようになっています。
この取り組みに適用されているのが、IoT活用による「工場の見える化」をテーマとしたIoTソリューションです。製造現場で発生する様々なセンシングデータと、製造装置ログ、製造計画/実績、作業員情報などの相関関係が整理されたデータをクラウドに集約し、現場を可視化するとともに事象分析・予測を実現し、スピーディーに製造工程の改善活動につなげることが期待できます。

「アノマリ検出技術」による異常の予兆検知

2014年 4月に発表されたビッグデータ利活用ソリューション「Operational Data Management & Analytics」に、Zinraiの 1つの構成要素である機械学習機能を実装し、機器やサービスの異常予兆を高精度で検知するという、アノマリ「検出技術」による異常の予知検出技術を紹介しました。アノマリとは、「いつもと何かが違う」という意味。普段の状態を機械学習で覚えておいて、いつもと違うものや状態を「異常」と検知することで、変化の予兆をとらえます。工場やプラント等の設備保全、設備保全の自律化、運用継続性をさらに向上させるなど、お客様業務の変革や新しいビジネスの創造へ貢献します。

アノマリ「検出技術」による異常の予知検出技術

アノマリ「検出技術」によるモニター画面

オムニチャネルを支える情報利活用基盤

店舗付近にいるお客様に向けて、その人の嗜好に合わせたクーポンや、タイムセールの情報を手元のスマートフォンに配信し、お客様の購入意欲を後押しするIoT活用モデルの紹介がありました。これは、無線LANを通じてお客様のスマートデバイスの位置情報を検知し、事前に登録済のお客様属性情報と照らし合わせ、一人ひとりに最適なアプローチを専用アプリからリアルタイムでプッシュ配信しているものです。流通の世界でも、デジタルテクノロジーを活用したマーケティングが身近なものになっていることが実感できました。

オムニチャネルを支える情報利活用基盤デモブース

母と娘のタブレットそれぞれの興味にあわせたお知らせやクーポンが配信される

人やクルマのリアルタイムな位置情報活用

人やクルマのリアルタイムな位置情報活用デモブース

SPATIOWLを活用した、大規模イベント時の人の流れを制御するスマートモビリティソリューションの適用例を紹介しました。イベント終了直後の会場周辺の交通状況が示されたモニターを利用して、付近の人々に最適な交通手段を提示したり、管制センターがリアルタイムに変化する人の流れや交通状況を警備員に配信し、迅速、適切な人員配備を促したりする事例の紹介がありました。

IoT活用による工場全体最適化の支援

環境経営のダッシュボードのモニター

ものづくりにおけるあらゆるデータを見える化することで、ものづくりの「今」の状態を正確に把握することができるFactory Performance Dashboardをご紹介。従来個別で管理されていた電力消費や生産実績、品質、点検記録などの設備保全、原価データ等の環境情報・経営情報を集約し、あらゆるセンシングデータをダッシュボード上で横串で統合的にとらえることで、工場全体の最適化を支援。モニターで、異常や気づきを得ることができる様子を説明していました。

まとめ

どの講演もほぼ満席で、ビッグデータやIoTへの関心の高まりを改めて実感することが出来た今回のフォーラム。セミナー聴講後はすぐ側の展示コーナーで実際にデモを体験できる流れとなっており、多くのお客様が熱心に説明員に質問されている様子が印象的でした。

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