宇宙の謎の解明に貢献!「スーパーカミオカンデ」によるニュートリノ研究を支える実験解析システム

ニュートリノに質量があることを突き止めた「スーパーカミオカンデ」

2015年10月6日、東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章さんのノーベル物理学賞受賞が決定したニュースは、日本中を沸かせました。梶田さんが所属するスーパーカミオカンデ実験グループは 、宇宙にある最も基本的な粒子の一つである「ニュートリノ」(注1)に質量があることを発見。これは、従来「ニュートリノには質量がない」と考えられてきた素粒子物理学の定説を覆す大変画期的な発見と言えます。ニュ—トリノに関する研究で日本人がノーベル物理学賞を受賞するのは、超新星からのニュートリノを世界で初めて観測した小柴昌俊さんに続いて二人目となります。また、梶田さんは小柴さんの弟子にあたります。

ニュートリノに質量があることを突き止めた観測施設が、岐阜県飛騨市の地下約1000mに建設された「スーパーカミオカンデ」(1996年に完成)です。スーパーカミオカンデはカミオカンデ(1983年に完成)の後継で、大型化とセンサーの増強などによって、カミオカンデのニュートリノ検出能力を大幅に向上させたものです。内壁は1万1千本の直径約50cmの「光電子増倍管」で覆われています。この光電子増倍管が24時間休みなく稼働することにより、ニュートリノがごくまれに水とぶつかって発生するごく弱い光を捕らえることができるのです。

(注1)素粒子の1種。「ニュートラル」は中性、つまり電気を帯びていないという意味、「イノ」はイタリア語で小さいという意味。もっとも基本的な粒子の一つでありながら、その性質は、未だに分からない点が多い。

ニュートリノの膨大なデータを蓄積し、解析

太陽ニュートリノや大気ニュートリノのほか、超新星ニュートリノなど、数十年に1度、十数秒ほどしか訪れないケースも確実に観測するため、システムには24時間365日の安定稼働と、高速な解析処理が求められます。これらのニュートリノ研究を1996年の実験開始当初から支えているのが、富士通の実験解析システムです。(注2)

現在稼働中の実験解析システムでは、1日あたり500GBに及ぶ膨大な観測・解析処理後のデータを確実に格納するだけでなく、過去の膨大なデータにも高速なアクセスが可能となっています。また、高信頼性、データの転送性能や処理性能の向上などによって、解析がいっそう効率化されただけでなく、消費電力の削減も実現しています。

(注2)富士通のブレードサーバ「PRIMERGY BX922 S2」142台を用いたPCクラスタシステムと、ストレージシステム「ETERNUS DX80 S2」、スケーラブルファイルシステムソフトウェア「FEFS」を用いた高速分散ファイルシステムを中心に構成。

ニュートリノの性質についてのいっそうの探究を

ニュートリノの性質についての理解をいっそう深めることにより、宇宙の成り立ちや物質の起源の謎に迫ることができると期待されています。さらに、これまで発見されていない陽子崩壊の探索や、まだ誰も成し得ていない大統一理論(注3)の実験的検証が可能になるかもしれません。

現在は、100万トン級の巨大水タンクと超高感度光センサーからなる実験装置「ハイパーカミオカンデ」の構想もすでに進んでおり、2025年頃の実験開始を目指しています。

現在のスーパーカミオカンデ実験用計算機システムは、初代から数えて実に5代目 。これからも富士通は、ICTの力でニュートリノ研究を支え、宇宙の謎の解明に貢献していきます。

(注3)自然界の4つの基本的な力のうち、電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用の3つを統一しようとする理論。未だ確実なモデルがなく、実験的な検証が待たれている。