育児中でも生き生きと働くために---モバイルワーク勤務の定着を目指す

時間や場所に制限されず、働きやすい環境で働く「モバイルワーク勤務」とは?

長く働き続けようとすると、「育児」「介護」の問題に直面する人も多いのではないでしょうか。

富士通では、創立80周年記念全社革新運動において、グローバルにイノベーティブな組織風土づくりを全社的に推進するため、「ワークスタイル改革に向けた環境・制度整備」を進めています。様々な事情を抱える社員たちが、時間や場所に制限されず、働きやすい環境で働いていくためには、社内制度や仕組みを整備する必要があります。

その中の一つが「モバイルワーク勤務」です。これは、育児や介護事情がある社員の「場所にとらわれない」働き方を支援するものです。例えば、「朝、子どもを保育園に送り、そのまま午前中は自宅で勤務、午後から出社する」など、自分に合ったフレキシブルな働き方が可能になります。同時に会社側は、社員の心身の疲労を低減し、育児/介護事情による離職を防止することができます。

富士通では、モバイルワーク勤務を制度として定着させることを目指し、2015年度よりトライアルを開始し、効果検証を行っています。今回は特に「育児」に事情を抱えた社員を集め、8月18日、東京・汐留の富士通本社にて、「多様な人材がいきいきと働けるモバイルワークライフの未来を考える」と題したワークショップを開催しました。

育児中ならではの仕事の悩みを全員で共有

今回参加したのは、今まさに育児真っ最中の富士通社員、男女合わせて16名です。

まず最初に、ニックネームを書いた名札をつけて、自己紹介からスタート。自分の名前も部署も伏せることにより、仕事のしがらみから脱却し、自由に自分の意見を言えるというメリットがあります。

場がなごんだところで、3つのグループに分かれ、ワークショップの1つ目のテーマ「自分の悩みごとをみんなに共有する」を開始。参加者は、各メンバーの悩みごとを聞きながら、テーブルに敷かれた模造紙に自由にメモを取っていきます。共有の場所に書くことで、他のメンバーとポイントを共有することができます。ここでは、「短時間勤務のうえ、子どもがよく病気にかかるため、責任のある仕事ができなかった」「海外出張に行きたかったが、手を挙げられなかった」など、育児中ならではの悩みが語られました。

参加者は机上の模造紙に自由にメモを取る

育児で得た経験は何ものにも変えがたい

昭和女子大学キャリアカレッジ 社会人メンター 吉田淳子氏

昼食をはさんで、昭和女子大学キャリアカレッジ 社会人メンターである吉田淳子氏の講演がありました。

吉田氏は、とある外資系の会社で働きながら、1997年に長女を出産。以降、「育児をする社員がどうしたら生き生きと働けるか」について、各所で講演会を行ってきました。

「現在育児中の皆さんが大変なことは、自身の経験からよく分かります。でも、育児で忙殺されていた頃の自分は、今となってみれば戦利品です。そこで得た経験は何ものにも変えがたい。必ず楽になる日は来ますので、その時を楽しみに待っていてください」と、参加者に対しエールを送りました。

次に行われたのは、吉田氏をナビゲーターとしたグループワークです。ここでは「モバイルワークをすることによって、将来、どんな自分になっていたいか?」をテーマに議論しました。参加者からは、「“モバイルワークだから知りません”は禁句。モバイルワークだからこそ、密に連絡を取ることが必要」「モバイルワークだからこそ、周囲の人たちと信頼関係を築くことが大事」などの発言が出ました。

また、「自分のなりたい姿を一文字で表すと?」という吉田氏の問いかけに、参加者は一人一文字を紙に書き、全員の前で発表。「次の世代の”希”望になりたい」「仕事をする時は”凛”としていたい」「家庭でも会社でも”幸”を感じていきたい」など、思い思いの一文字が発表されました。

最後に吉田氏より、「すべては毎日の積み重ね。折りをみて、自分自身の点検をすることが大事です。いろいろ考えながら過ごすか、何も考えないで過ごすかによって、5年後、10年後に大きく違ってきます」とのアドバイスをいただきました。

参加者が選んだ一文字は、これからの決意表明でもある

育児の悩みは皆同じ。ワークショップをきっかけにポジティブになりたい

次に行われたのは、参加者全員が立って行う「ギャラリーウォーク」というワーキングです。「時短や在宅でいきいきと働き続けるために、個人と会社はどうあるべきか」「時間と場所の制約がなくなったら、どんな働き方ができるか」という問いかけに対し、参加者は付箋紙にアイデアを記入し、机上に貼付。共感できる意見に★マークを記入して回り、全員の意見を共有しました。ここでは、「時短の方が集中して仕事ができるため、アウトプットを出せる場合もある」「自宅だと安心して仕事ができるため、かえって効率的」「周囲の人たちに時短や在宅を社内制度として理解してほしい」などの意見が出ました。

また、参加者が上司と部下に分かれ、在宅ワークにおいてのロールプレイングを行いました。これは、実際の社内の人を演じることで、課題を洗い出し、その解決策を検討するものです。「顔合わせでないと難しい打ち合わせに対しては、きめ細かい連絡やテレビ会議によってフォローする」「労働時間管理については、上司や同僚とコミュニケーションを密に行う」「突発事項に対しては、ネットワークを使って対処する」などの案が出ました。

最後に、参加者全員が今日の感想を発表。「育児は女性の負担が多いと思いこんでいたが、男性も意識が高いことが分かった。これからは制度としてもっと社内に広まってほしい」「今まで育児に関して一人で悩んでいたが、みんな色々悩みを抱えていることが分かった。今日のワークショップをきっかけにポジティブになりたい」などの声がありました。

ワークショップ終盤。机上の模造紙はメモでいっぱいに

まとめ

仕事と育児を両立させることは、想像以上に大変なことです。 そんな中、モバイルワーク勤務は大きな可能性を秘めています。組織の枠を超え、自分たちが目指すべき働き方についてグループで討議することにより、「本人にも会社にもメリットのある働き方」を認識できたのが、今回のワークショップの成果と言えます。

育児や介護事情のある方が、「働きやすく・活躍し続ける」ことは、全社共通の課題です。富士通では今後、「育児」に引き続き、「介護」事情のあるワークショップも開催。参加者の意見を踏まえて、本格運用となった際のモバイルワーク勤務の制度設計のみならず、職場のマネジメント改革等に役立てることを目指し、2016年度より社内制度として全社展開する予定です。