日本の大学を世界トップクラスに引き上げるために、京都大学と富士通ができること

日本の大学のレベルは世界的に高い? それとも…

世界を見た時に、日本の大学のレベルはどのくらいなのでしょうか。中国の上海交通大学・大学研究センターが毎年発表している「世界大学学術ランキング 2015」によると、世界ランキングの1位はハーバード大学、2位スタンフォード大学、3位マサチューセッツ工科大学、4位カリフォルニア大学バークレー校、5位ケンブリッジ大学となっています。日本の大学では、東京大学が21位、京都大学が26位、名古屋大学が77位。日本の大学が世界のトップ10入りを果たすのは、なかなか難しいようです。

日本政府の日本経済再生本部による再興戦略では、「日本の大学を世界のトップクラスの水準に引き上げる」という目標を掲げ、大学教育のさらなるレベルアップに取り組む姿勢を示しています。しかし、これまでの大学教育の改善は、教員個人の経験や判断によるところが大きく、客観的かつ持続的な改善に有効な定量的な評価の方法が望まれていました。

学習エビデンスデータを分析し、教育や自学自習の新しい手法を確立

そこで京都大学と富士通は、効果的な教育手法の確立と、学生が自主的に学習を進めるのに有効なシステムを構築するための共同研究に乗り出しました。

京都大学では、2004年より各種の教育・学習支援システムを積極的に導入。それらのシステムを活用し、学生がどのような教材や資料を、どのくらいの時間をかけて参照・活用し、その結果、学生の理解度がどう向上したかなどの「学習エビデンスデータ」を蓄積してきました。一方、富士通は、高度なビッグデータ分析やセキュリティ技術の教育分野への適用など、教育・学びの領域におけるICTの活用と、それによる社会の課題解決に取り組んできました。

今回の共同研究は、京都大学と富士通両者の強みを活かして進めます。京都大学では、これまで蓄積してきた膨大な学習エビデンスデータを提供。富士通は、それらを分析し、教育や自学自習の新しい手法を確立するためのICTプラットフォームを開発します。

誰もが利用できる効果的な生涯教育・生涯学習の環境を実現

具体的な研究内容の一つが「MOOC(ムーク・注1)」の活用です。MOOCの学習エビデンスデータを活用し、教材ビデオを視聴した学生の学習行動と学習理解度と関係性を分析するなど、学習データの分析と可視化に取り組みます。京都大学は主に学習エビデンスデータの提供や分析方針の検討を行い、富士通は主に分析ツールの開発やデータ分析を行います。

その他にも、これまで教員が行ってきた教育方法やカリキュラム、学生の学習行動とその成果などの学習エビデンスデータの統合・分析・可視化を進め、大学教育の場での効果を検証していく予定です。

今回の共同研究の成果ふまえ、富士通は学習エビデンスデータを分析するICTプラットフォームを活用し、学生に限らず誰もが利用できる効果的な生涯教育・生涯学習の環境を開発。これらを広く提供していくことで、社会に貢献することを目指します。

(注1)Massive Open Online Courses(大規模公開オンライン講義)の略。インターネットを通して大学レベルの講義を、世界中に無料もしくは安価に提供する取り組み。

エビデンスデータの統合・分析・可視化から実証への流れ