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「人を幸せにし、豊かで安心できる世界に導く」ことが技術の役割[富士通フォーラム2015 カンファレンスレポート]

[カンファレンス]テクノロジーが拓く未来。人と技術と社会の「共進化」を目指して

東京・有楽町にある東京国際フォーラムにおいて、2015年5月14日~5月15日の2日間にわたり、富士通最大のイベントである「富士通フォーラム2015東京」を開催しました。本カンファレンスでは、多摩大学大学院の紺野登氏、富士通の松本端午、富士通研究所の佐々木繁が、テクノロジーのもたらす明るい未来と、その実現に向けたイノベーションのあり方をそれぞれ講演した後、パネルディスカッションを行いました。

「技術は人を幸せにし、豊かで安心できる世界に導く存在でなければなりません」――トップバッターとして登壇した富士通の松本は、「『こうありたい』と考える人の強い思いをベースに技術に正しい目的を与え、人を主役としたイノベーションを実現する。それこそが、富士通が掲げるヒューマンセントリックイノベーションの姿です」と語りました。

得られた情報にどういった意味を持たせるかが肝要

人が主役のイノベーションは今、新しいフェーズを迎えようとしています。ウェアラブルコンピュータの登場で、より多くの情報を得られるようになるからです。

ビジネスカジュアル姿で登壇した松本は、「実は今、センサーを履いています」と話すと、おもむろに真っ赤なスニーカーを脱ぎ、中からインナーソールを取り出しました。インナーソールには感圧センサーやソールの曲りを検知するセンサーに加え、GPS(全地球測位システム)やジャイロ、Bluetoothモジュール、電源などが埋め込まれており、松本の動きを毎秒10回の頻度で、ポケットに入れたスマートフォンに無線で自動送信します。

富士通株式会社 CTO&CIO 松本 端午

ウェアラブルの分野では現在、とりわけ時計が脚光を浴びています。しかし、「より大きな容積を持つ靴には色々なセンサーを組み込むことができます。また第2の心臓とも言われる“脚”から得られる情報は、人の状態を理解するうえで極めて大きな意味があります」と松本は説明しました。健康状態の把握はもちろんのこと、躓(つまず)いた際の衝撃を検知して救護に駆けつけたり、体重のかかり方などから科学的にスポーツのレベルを高めたりするといった幅広い応用が期待できます。

今回の松本の靴のデータからは今まで見えなかったことを浮かび上がらせることができました。例えば、ある日の松本のデータを分析した社員は、「川崎駅から横浜駅までJR東海道線で座って移動しましたね」と、松本の行動をずばりと言い当てたそうです。GPSのデータと感圧センサーや曲りを検知するセンサーのデータを組み合わせて分析することで、移動経路だけでなく、「座っている」「立っている」「歩いている」といった状態までも正確に把握できたためです。

ウェアラブルに限らず、すべてのモノがネットワークにつながるIoT(Internet of Things)の時代には、ありとあらゆるデータを取得できるようになります。それらを活かし、いかにしてヒューマンセントリックイノベーションを実現するか。「肝心なことは、得られた情報にどういった意味を持たせるかです」と松本は語りました。

個人のクリエイティビティが問われる時代に

多摩大学大学院教授 知識イノベーション研究所代表 紺野 登 氏

続いて登壇した多摩大学大学院の紺野氏は、「テクノロジーだけではイノベーションは起こせない」と主張します。「ややもすると素晴らしい技術があればイノベーションが生まれると思われがちですが、社会の十分なサポートなくして絶対に成功しません。いかに世論を惹きつけ理解してもらうかが重要です」と語りました。

それではイノベーションを起こすにはどうすればよいのでしょうか。講演で紺野氏は、イノベーションを起こすうえで不可欠な二つのキーワードに言及しました。

1つめのキーワードは「共進化」です。人間は自ら言語という道具を生み出し、それにより脳が一段と進化して文化やテクノロジーを発展させてきました。このように共に進化してきた流れを踏まえ、「人間とコンピュータが相互に作用しながら、いかに進化していけるかを考える時代になってきました」と語ります。

2つめのキーワードは「協業経済(シェアエコノミー)」です。カネやモノ、サービス、空間など、様々なものを共有することで、現状をブレークスルーする新たな価値が生み出されます。紺野氏は「これまでは自社が一所懸命に市場で戦って利益を出す『I(私)』の発想でしたが、これからは『We(私たち)』の発想で様々な協業関係を築きつつ一緒に利益を創出していくことが大切。ひとりの人間や企業単独の力では到底対応できない大きな変化を、地球規模の協業ネットワークとコンピュータの力を駆使して乗り越えていく時代がすでに到来しています」と語りました。

さらに紺野氏は「協業経済の中心はテクノロジーでエンパワーされた人間であり、経済活動の主体は国家や企業から個人に移っていくだろう」と指摘します。それに伴いイノベーションの流れも「企業が自社の利益を起点に新たな価値を社会や顧客に浸透させるサプライサイドのロジックから、社会や人の側でイノベーションが始まり、それを企業が受け入れるデマンドサイドのロジックに逆転します」と語り、「そうなった時に問われるのが、個々人のクリエイティビティ(創造力)。従来に増して人間の創造力が求められるようになります」とまとめました。

「人の意志、意図」と「機械の協調、共創」による人のエンパワーメント

株式会社富士通研究所 常務取締役 佐々木 繁

富⼠通研究所の佐々木は、20世紀に劇的に発展してきた科学技術の歴史を振り返り、「今後も技術は進化し、それを活用した高機能な機械が生まれるでしょう。それらの機械にはコントロールする側の人の意志や意図が大きく反映されます。人のエンパワー、社会貢献、社会のサステナビリティは、技術が善良な方向に使われることで可能になります」と述べ、人の倫理的な意志や意図の重要性を説きました。

講演の中で佐々木は、富士通が実用化を視野に研究開発を進めている複数の最新技術を披露しました。いずれも人間の可能性を大きく広げるものです。

1つめは、脳の出先器官である人の目がどの方向を向いているかを把握する視線検知技術です。小指サイズの小型センサーで瞳孔と角膜の反射を検知することで視線を検出し、顧客の意志や意図を先読みします。小売店で顧客が注視している商品の特徴などから、ごく自然な形で店員が好みの色の商品を提案するといった応用が期待できます。

2つめは、人には見えない情報を見出す技術です。その例として、手のひらの静脈のパターンから個人を特定する手のひら静脈認証技術を紹介しました。「この世界最高認証精度の技術は現在、世界で6300万人が利用しています。今後も様々な業界で人々のセキュリティと利便性を同時に高めていきます」と語りました。

続けて「詳細はまだ話せない」と前置きしたうえで、においセンサーを研究開発中であることも話しました。気体の分子からガスやにおいを高感度で計測するものです。「将来的には電話口の相手が吐く息から特定の成分を検出し、必要に応じて病院での検査を勧めたり健康診断に応用したりするといったことが考えられます」と新しい技術に触れ、講演を終えました。

イノベーションによって人と社会の共進化を目指していく

それぞれの講演を受けて開かれた3氏によるパネルディスカッションでは、様々な観点からテクノロジーが切り拓く未来について意見が交わされました。その中で紺野氏は「一般に日本の多くの企業はモノを作って売ることに意識が向けられており、既存の主力市場を中心にした発想から抜け出せていません」と課題を挙げ、「技術の研究開発に携わる人材は今後、イノベーションを起こすことが仕事だというマインドに切り替える必要があるのではないでしょうか」と提言しました。

また、佐々木は夢の重要性を強調しました。「企業規模に関係なく、常に夢をかたちにしようという気構えが大切。気概のない組織では人は『やらされ感』を持って行動しますが、夢を持つとそれが『やってやろう感』に変わります。ポジティブに物事を考えることで、結果的にイノベーションを創出、共創することができると信じています」との見解を示しました。

最後に松本が「テクノロジーが信頼を持って人に迎え入れてもらえるようにすることが、ヒューマンセントリックイノベーションのベースになります。そのために富士通は、人を中心としたイノベーションの価値を共有いただける多くのお客様と力を合わせ、コンピュータの素晴らしさを追求すると同時に、人と技術と社会の共進化を目指していきます」と語り、セッションを締めくくりました。

ウェアラブルコンピュータの登場やIoTの普及で、膨大なデータが入手できるようになるなど、テクノロジーは日々進化していきます。ただ、それだけではイノベーションを起こせません。イノベーションを起こすために必要なピースは何なのかを、改めて考えさせるセッションでした。

登壇者
  • 多摩大学大学院教授
    知識イノベーション研究所代表 紺野 登 氏

  • 富士通株式会社
    CTO&CIO 松本 端午

  • 株式会社富士通研究所
    常務取締役 佐々木 繁

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