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災害予測を迅速かつ正確に、防災を支援する「災害ビッグデータ分析技術」

昨今気候の変動が激しく、自然災害の激甚化が進んでいます。1時間あたり80mmを超える降雨量の年間観測数は増加しており[注1]、大雨やゲリラ豪雨による洪水、土砂崩れなど、深刻な被害につながりかねない自然災害に対して、より高度な対応が求められています。

行政の防災担当者は、災害情報を的確に把握し、適切なタイミングで避難勧告を出すことを目指していますが、判断に必要な情報は、特に発災早期において不足しています。このような課題に対し、富士通はICTによる防災ソリューションの研究開発を進めています。

富士通の災害ビッグデータ分析技術

洪水や土砂災害に対しては、多くの水位センサーから広範囲に情報を集めることが重要です。しかし、センサーで国土をあまねくカバーするには限界があり、さらには宅地開発の進行により、センサーのない地域にまで住宅が広がっているため難しいというのが現状です。

富士通が開発した「災害ビッグデータ分析技術」は、過去の洪水時の雨量や地形情報などのビッグデータを活用しシミュレーションすることで、センサーの点情報を面情報へと広げることが可能です。センサーが設置されていない場所の状況を予測、推定し、高度な次世代防災ソリューションを実現しています。

1. 災害SNSデータからの発災推定技術

SNS上に流れる多くの発言(ツイート)には災害に関するものも含まれます。特に最近では、災害時の現場情報として報道でも多く利用されるようになりました。しかし、SNS上の発言には噂や伝聞も含まれているため、情報を活用するために確度の高い情報のみを防災担当者が選り分け、判断するのは困難でした。

そこで富士通では、マーケティング分野などで活用されていたビッグデータ分析技術を応用し、SNSデータからの発災推定技術を開発しました。災害に関する雑多なSNSデータの中から、直接目撃した情報を抽出するだけでなく、発言場所を推定、さらには発言件数の変化を検知することで発災を推測します。

具体的にはまず、自然言語処理技術により「冠水」「浸水」などの災害に関するキーワードを含む発言を収集します(図1-1. 災害情報収集)。キーワード自体も検証を重ね、限られたキーワードで効率よく災害の状況を収集できるような仕組みを整備しました。収集した発言に対して、確率モデルと機械学習を用いた伝聞排除技術により、「目撃・観察の情報」「直接伝聞」「間接伝聞」の序列をつけ、伝聞情報を除去します(図1-2. 伝聞情報除去)。GPS情報が含まれている発言は、調査の結果0.5%以下と非常に少ないため、駅・交差点・ランドマーク等についての発言を分析することで、具体的な発災場所を推定します(図1-3. 場所推定)。最後に、時間・空間的に集中して発言が増加しているといった情報を元に異常を検知し、災害発生を推測(図1-4. 発災推測)、地図上にグラフィカルに表示します。

[図1]災害発生推定の仕組み

[図2]SNSデータからの発災推定システム(画面イメージ)

どの市町村で、どのような災害が、どんなタイミングで起きているのかを見える化。自分の町で今起きているのか、隣町で起きているのか、早期対応する必要があるのかといった判断を可能とし、災害対策業務を支援する。

このモデルを、2012年8月に関西地方で発生した洪水災害時に実際に流れたSNSデータに適用して検証した結果、8割程度の確度で発災検知が可能でした。

2. 数理最適化による洪水シミュレーション技術

降雨の際に河川流量の変化を予測する技術としては、国立研究開発法人土木研究所の開発した洪水予測シミュレーションがあります。洪水予測シミュレーションでは、地域をたとえば500m区切りでメッシュ状に分割し、雨水が土壌に浸透、河道に流出する現象をモデル化した「分布型流出モデル」を利用します。しかし、シミュレーションに必要なパラメーターをひとつひとつ正確に設定することは、高い熟練スキルと河川工学・水文学の専門知識が必要、かつ作業量は膨大でした。また、パラメーターを適切にチューニングしないと正しい予測値が出せないことが課題で、実務上での運用は負担が大きいという現状がありました。

富士通は、国立研究開発法人土木研究所と共同研究を実施し、洪水予測シミュレーターに数理最適化技術を適用することで、流量計算結果と実際の流量測定データの誤差を最小化するようにパラメーターを自動調整し、最適化する技術を開発しました。これにより、専門知識を前提とした調整を必要とすることなく、熟練技術者でなくともこのシステムを利用可能になります。

数理最適化技術とは、たくさんのパラメーターの中から最適な組み合わせを少ない計算回数で見つけるもので、応用範囲は広く、半導体設計やエンジン燃焼効率の向上などにも用いられています。

ただし、少ない計算回数で良いパラメーターを計算するには、モデルに適した最適化アルゴリズムを用いることが重要です。そのため、遺伝的アルゴリズム、粒子群最適化、微分進化アルゴリズム、シミュレーテッドアニーリングといった合計75種類の最適化アルゴリズムを評価し、洪水予測シミュレーションで用いる分布型流出モデルに適した13種類の最適化アルゴリズムを選定しました。同時に、選定を自動化する数理最適化プラットフォームも併せて開発しています。

[図3]数理最適化技術とは

[グラフ1]雨量、流量測定値とシミュレーションによる計算値の比較

この結果、国土交通省が管理する一級河川では、既存のセンサーを活用して流域全体の状況を管理できるようになります。また地方自治体においては、簡易センサーと組み合わせることで十分な河川管理が可能となり、防災を高度化できます。

ICT活用で安心・安全な社会へ

富士通はこれまでもICTによる防災ソリューションの開発を進めてきました。

例えば、下水道氾濫に対しては、マンホールにセンサーを設置することが早期検知に有効ですが、コスト面から広域での対応が困難でした。そこで実際の流水時間データを分析し、センサーを組み込むべきマンホールの位置と数を決定する技術を開発しました。これにより、5分の1のセンサー数で下水道全体の流れを把握、予測することが可能となります。さらに水位変化に応じて測定パラメーターを最適制御することで、消費電力を最大70%削減し、運用コスト低減にも貢献します。[注2]

津波や浸水に対しては、東日本大震災の際に、津波の高さだけではなく浸水範囲に関する予測の必要性が課題となりました。そこで、高解像度の津波モデルを新たに開発し、スーパーコンピュータ「京」の高効率並列計算を用いて、リアルタイムで津波の浸水状況を予測する技術を開発しました。東日本大震災では、地震発生1時間後に仙台市に浸水し始めましたが、本技術により約10分で浸水域を推定することが可能となります。[注3]

「災害ビッグデータ分析技術」を利用すると、従来とらえることができなかった「いつ、どこで、どのように災害が広がっているのか」という災害情報を行政の防災担当者が把握できるようになり、災害に対する速やかな初動対応が可能になります。また将来的には、個人ごとに最適な防災情報を提供するサービスの構築も考えられます。

富士通では、今後も防災に役立つICTを研究開発し、人々が安心・安全に暮らしていける社会の実現を目指していきたいと考えています。

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