対応が進む大規模災害時の「医療連携」とは?

重要性が高まる災害時の医療機能継続

2011年3月11日の東日本大震災から4年。震災などの大規模リスクが発生した時でも、事業を中断させない、または目標の復旧時間内に重要な機能を再開させる「BCP(Business continuity planning: 事業継続計画)」という取り組みが各所で進められています。

BCPは、病院などの医療機関において特に重要な課題です。厚生労働省が2013年に実施した調査では、大地震など大規模災害が発生した際の医療拠点の耐震化は78.8%。病院の建物などハード面だけでなく、電子カルテを遠隔地にバックアップしたり、スマートフォンを使った患者情報の参照システムを構築したり、ソフト面でも対策が強化されています。

そのような状況の中、富士通は2013年から、名古屋医療圏の中核6病院(注1)と共同で、被災時の診療を継続するための診療情報バックアップシステムを構築し、「愛知メディカルBCP」として本格運用しています。

これは、富士通のプライベートクラウド型の医療機関向け災害対策ソリューション「Human Bridge(ヒューマンブリッジ)BCPソリューション」を利用したものです。これまでに病院連携で電子カルテ情報を地域の病院間で共有した事例はありましたが、災害対応に特化して、医療継続のために取り組むのは初めてのことです。

(注1)名古屋大学医学部附属病院、名古屋医療センター、国立長寿医療研究センター、東名古屋病院、名古屋第二赤十字病院、名古屋掖済会(えきさいかい)病院

患者属性や検査結果などの診療情報を堅牢なデータセンター内にバックアップ

愛知メディカルBCPの特長は、高度なネットワークテクノロジーと信頼性の高いセキュリティです。このシステムの構築に参加した6病院では、各病院の電子カルテデータから、患者属性、病歴、処方情報、検査結果などの診療情報をSS-MIX(注2)形式で、安全性が非常に高い富士通データセンター内のバックアップシステムに格納。24時間365日ノンストップでの運用管理が行えます。

これにより参加病院は、電子カルテシステムが被災した場合でも、富士通データセンター内のバックアップシステムにアクセスすることで、診療情報を参照することができます。さらに6病院間で締結された協定と運用ルールに基づき、緊急時にはデータセンターの設定を変更することにより、6病院間でデータの相互参照が可能となり、延べ50万人分の診療情報を迅速に立ち上げることができます。

また、停電やネットワーク網のダウンでバックアップシステムに接続できない場合を想定し、SS-MIX形式の診療情報を各病院内のバッテリ駆動のノートPCに保存しています。クラウドとオンサイトのバックアップにより、多様なシーンへの対応が可能となります。

患者側は、行きつけの病院に行くことができなくても、今までの診療データや基本情報(患者属性、病歴、処方情報、検査結果など)を他病院で参照し、適切で効率的な診療を受けることができます。

(注2)SS-MIX(Standardized Structured Medical record Information eXchange):
厚生労働省の電子的診療データ交換推進事業。

地域の医療機関との連携で万が一の時に安心安全な医療を

大規模な地震が発生する確率が高い地域においては、災害時の情報連携と迅速な診療活動につなげるといった効果が期待されます。
今回の取り組みで、愛知県内の災害拠点病院における「災害時に参照可能な診療情報の保全」「迅速に診療活動を立ち上げられる環境整備」の取り組みに加速がつきそうです。

今後、南海トラフ地震や首都直下地震など大地震の発生が懸念されており、医療関係者、医療機器メーカーを含め、国全体で病院の防災を考えていく必要があります。富士通では、今回参加した6病院とともに、より多くの他の医療機関の参加を推進し、今後も継続して本システムの機能向上を図り、地域診療情報連携の推進に貢献していきます。