環境にやさしいバイオ素材を使用した「水性植物性塗料」を開発

環境問題はCO2だけじゃない。光化学スモッグの原因である「VOC」削減が急務

地球温暖化やオゾン層破壊など、地球環境問題は日々深刻化しています。地球環境問題を考える上で、「CO2の抑制」などと並ぶ重要な課題の一つが、「揮発性有機化合物(VOC)の削減」です。

VOCの排出によって発生するのが、光化学スモッグです。光化学スモッグは、1970年代に社会問題となり、「目がチカチカする」「喉が痛い」「手足がしびれる」といった症状を引き起こします。一時期鎮静化しましたが、2000年になって再び計測されています。

VOCは、主に石油やシンナーを使用した「溶剤系塗料」などに含まれ、そこから揮発して大気中に拡散します。VOC排出量の約40%は溶剤系塗料が原因とされており、排出を削減するためには、現在多くの塗料に使用されている「溶剤系塗料」から、VOCを含まない「水性塗料」へ切り替えることが効果的です。

そうした状況の中、富士通研究所は2013年、サーバなどのICT機器に適用でき、VOCを80%削減可能な水性塗料を開発。さらに今回、塗料メーカーのミカサペイント(株)の協力のもと、CO2も削減可能な「水性植物性塗料」を、ICT業界で初めて開発しました。

CO2とVOCの削減に貢献する「水性植物性塗料」

今回開発した水性植物性塗料の特徴は、バイオ素材であるポリ乳酸エマルションを用いて、耐水性のある強固な塗膜を実現したことです。この水性植物性塗料を利用することで、CO2排出量を従来の60%、VOC排出量を溶剤系塗装と比較して80%削減できます。危険物ではなくなるため、運搬や塗料パッケージが簡易になると同時に、塗装作業環境の改善や、運用コストの低減にもつながります。今後利用が広がれば、地球温暖化の抑制、光化学スモッグの低減など、環境対策にも貢献することができます。

富士通はこれまでも、さまざまな環境保全活動に取り組んできました。2002年に、トウモロコシなどを原料とする植物性プラスチックをノートパソコンに採用したこともその一つです。これからも、環境にも人にもやさしい社会を目指して、新たな製品の開発に取り組んでいきます。