クラウドで大きく変わるビジネスの現場(後編)

クラウドの登場はビジネスの現場に大きな変化をもたらしています。これまで1年かかっていたシステム構築は、今ではわずか1週間で実現できるようになりました。まさに、ビジネスを始めるなら「クラウドファースト」という時代になってきたのです。富士通はクラウドビジネスにおいて、次に何を目指すのか。クラウドがどのような業種で使われ、どのような成果を上げいるのか。前半に引き続き、岡田昭広・執行役員クラウド事業本部長に語っていただきました。

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富士通が開発したクラウドサービスは、さまざまな業種の現場で利用されていると聞きましたが、具体的にどのような分野で、どのような効果を発揮しているのか、お聞かせいただけますでしょうか?

東海・北陸地方を中心にスーパーマーケットを多店舗展開されているお客様は、これまで店舗の在庫計算に時間を要し、従来基幹システムで運用していた発注は、前日の在庫を反映したものではありませんでした。在庫計算のためだけに基幹システムを入れ替えるのは現実的ではなかったため、店舗在庫計算処理だけを現行の基幹システムから切り出し、クラウド上でバッチ処理をするようになりました。その結果、バッチ処理時間を20分の1以下に削減することができ、効率的な発注処理ができるようになりました。

基幹システムの一部をクラウド上に切り出すとは面白いですね。新規ビジネスの分野で上手くクラウドを活用している例についてお聞かせいただけますか。

カメラなどの開発、販売をしている産業系のお客様の課題は、新規ビジネスを開始するにあたり、ビジネス規模がどれだけ大きくなるか分からない、という点でした。カメラも売りたいし、監視サービスもやっていきたい、映像を蓄積してそれを分析するサービスもやりたい、物を売るだけではなく、そういうサービスもやっていきたい。しかし、このようなサービスを実現するシステムを都度調達していてはお金が掛かって仕方ないし、不確かだということで、サービス系のところはクラウドで実施することになりました。

また、工業用の継ぎ目のないパイプを製造販売している世界的に有名なフィンランドの会社では、アジア展開をするために、CRMとERPの仕組みを当社の西日本のクラウド上に展開し、日本、韓国、アジア系をサポート、そして、バックアップはイギリスのクラウドを活用しています。

さらに、北米のセキュリティソリューションを持っているお客様は、このソリューションを全世界に展開されたいということで、クラウド上でサービスを開始し、超大型の流通顧客の店舗セキュリティ案件を獲得、中米の超大型店舗で利用されています。

グローバルレベルでの新たなビジネスをはじめる際にもクラウドが役立っているのですね。他の分野での活用はいかがでしょうか?

クラウドの活用範囲はIoT(Internet of Things)の分野にも拡がっています。産業系のあるお客様は、クラウドを活用したM2Mによる遠隔監視サービスを開始されました。社内だけでなく、お客様と機器情報を共有することで、迅速かつ効率的な保守を実現しました。

今は、新たなビジネスを開始する際には、クラウドが有効だと経営者の方は理解されています。この2年ぐらいの間に、ビジネスを始めるならば、クラウドファーストという時代になってきたのです。

今回はいろいろお話を聞かせて頂きましたが、最後にお客様に向けてクラウドの分野における富士通の想い、今後の展望を一言、頂けますでしょうか?

お客様の経営が安定する、発展できる仕組みを提供し続けたいと思います。そして、運用という部分で評価される会社になりたいと思います。

それは、クラウドの選定から構築、そして運用に至るクラウドのライフサイクルマネジメントをサービスとして提供することです。

そのためには、やはり、システムの目利きができるように、インフラからネットワーク、アプリケーションまでの技術を確実に持って、モノを売るだけではなく、高品位な運用を提供するサービスプロバイダーになっていくことが必要と考えます。

主力なパブリッククラウドサービスである「Trusted Public S5」は、設計、構築というところを限りなく自動化しています。ですから、やりたいと思ったら画面を見ながらGUIで簡単に行なえばいいわけです。特別なサーバーの知識とか、ストレージの知識、ネットワークの知識、ファイアーウォールの知識がなくても、組み合わせるだけで、自動的にクラウド側で最適設計と構築が行われます。

このように、IaaSというサーバーストレージ、ネットワークの仮想化というところから始まり、セルフデザインで瞬時にできる設計構築の自動化が可能となり、今は、そのようなシステムの運用の自動化、スケジューリング、監視も全部、サービスで提供できる仕組みになってきています。

今後はさらに上位の業務を作りたいというときに、その業務のプログラミングをするのではなく、業務の要素の機能を組み合わせるだけで業務ができてしまうという、要素サービスを組み合わせたようなクラウドサービスに進化していくと思います。

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