立教大学と富士通のコラボで生まれる新しいICTのかたち

立教大学経営学部との共創プロジェクト「アイデアソン」成果発表会を開催

2014年7月11日、立教大学経営学部佐々木宏教授のゼミナール(以下、佐々木ゼミ)と、富士通が運営するコミュニケーション創発サイト「あしたのコミュニティーラボ(以下、あしたラボ)」の共創プロジェクト”アイデアソン”の成果発表会を、富士通ソリューションスクエア(東京都大田区)で行いました。「アイデアソン」とは「アイデア(Idea)」と「マラソン(Marathon)」を組み合わせた造語で、参加者が設定されたテーマに基づいて様々なアイデアを出し合い、それを練り上げていくことで、より優れたアイデアを生み出す参加型のイベントです。

成果発表会までの道のり

“佐々木ゼミ”と“あしたラボ”の共同プロジェクトは、「デジタルネイティブ世代」の視点から斬新な製品・サービスアイデアを創出することを目的に、2014年3月にスタートしました。学生・教員・企業人による、双方向型の大学教育としての挑戦でもあります。

これまで、富士通グループの社員も交え、ディスカッションや「富士通フォーラム2014」の見学会、アイデアプロトタイピング等を実施してきました。そして、その締めくくりとして、成果発表会を開催しました。

発表会に参加したのは、佐々木ゼミの学生でつくられた7チーム。成果発表は、まず各チームから映像もしくは寸劇による「予告編ピッチ」(持ち時間90秒)を公開。その後、それを見た審査員(来場者全員)が、展示スペースに設けられた各ブースでプレゼンテーションを見るという流れで行いました。

来場者全員の投票形式で選ばれる「参加者賞」のほか、4つの表彰があり、社外からのゲスト審査員として“イノベーションの創出を担う新組織”として設立されたばかりの「TBWA\HAKUHODO\QUANTUM」代表の高松充氏が参加。どのチームが受賞するのか、ゼミ生と来場者の期待も高まっていました。

寸劇をするチームもあった予告編ピッチの様子

展示スペースでの発表の様子。パネル、デモ、パンフレットなどを存分に使ってアイデアをアピール

「あの人の服、いいな」がわかる“ファストパス”

高松氏の「QUANTUM賞」、そして、あしたラボ代表の柴崎辰彦(富士通 事業推進統括部 戦略企画室長)が選定した「あしたのコミュニティーラボ賞」をダブル受賞したのは、チーム「かぶらない」の“ファストパス”。「ファッション ストリート・パス」の略称です。

すれ違い通信技術や位置情報サービス技術を用いて、ファッション情報を交換できるサービスです。

アパレルブランドなどを巻き込んだビジネスモデルまでしっかり考えられたアイデアに、審査員・高松氏は「画期的なアイデア。実現すれば、ファッション業界の流れを大きく変えてしまうかもしれない」と高く評価しました。柴崎からも、副賞として「あしたラボ編集会議(ランチミーティング)への参加権」が贈呈され、皆さんとても喜ばれていました。

次世代型ペンライト“Lovix”がイベント演出を変革

来場者投票による「参加者賞」、そして「IoT(Internet of Things)賞」を、ダブル受賞したのは、チーム「波乗りピカチュウ」の“Lovix”。音楽イベントなどで利用できる、観客参加型の演出手法です。

加速度センサーや通信機能を駆使して、これまでにない画期的なコンサートの表現方法が提示されました。

アーティストのイベントの演出に「双方向性」をもたらすシステムに、「IoT賞」審査員の須賀高明(富士通 IoTビジネス推進室長)も高く評価しました。

大学生活を劇的に変える“テキストレスでゼロストレス!!”

もう一つの受賞作として、蔦谷邦夫(富士通 グローバルマーケティング本部 総合デザインセンター シニアエキスパート)が選んだ「デザイン賞」は、チーム「Sea dog」の“テキストレスでゼロストレス!!”。

「快適で学びやすい大学生活の実現」をコンセプトに、教員と学生のコミュニケーション、学生と学校施設のコミュニケーションを中心として大学教育全体を革新する、練られたアイデアでした。

惜しくも表彰を逃しましたが、他の4チームのアイデアも、面白いものばかりでした。

【その他のチームと発表されたアイデア】
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『チーム「食いしん坊」 “キャンパスライフに革命を――Clairvoyance”』
空き教室や学食の混雑状況など、構内のセンサーで学生の動きを認識。学生の居場所や動きを即座に把握可能に。学生の行動範囲・行動時間も分析。

『チーム「トマト煮」 “PIECE of 2020 DREAM”』
2020年東京五輪を踏まえた、観光をテーマにしたシステム。会場までの経路、チケット購入、日本語翻訳、競技の結果速報や動画配信、混雑情報の把握など、外国人旅行客の視点に立ったサービス。

『チーム「Eyebrow」 “スマートで快適な街づくり”』
人が集まる場所でのユーザーの位置情報、外出の目的、希望データなどを収集・分析。一人ひとりに最適化されたプランを提供し、エリア全体の混雑緩和も実現。

『チーム「長男長女」 “コーディネートはコーデねぇと”』
自分の洋服を登録しておけば、天気予報やスケジュールと連動したコーディネートが提案され、アプリケーション上で試着することも可能。コーディネーターからのアドバイス、ランキング作成などの機能も。
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左上:チーム「食いしん坊」、右上:チーム「トマト煮」 、左下:チーム「Eyebrow」、右下:チーム「長男長女」

佐々木教授「アイデアの発散と収束を繰り返せた」

成果発表会の最後には、立教大学経営学部 佐々木教授から次のような総評をいただきました。

【佐々木教授による総評】
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富士通グループの皆さんには毎週のようにゼミに来ていただき、何も知らない状況からいろいろと教えてもらいました。プロを相手に、私どもの学生がどこまでできるのか、実は不安でしょうがなかったのですが(笑)、アウトプットの段階までうまくいったと思います。

今の学生は、日頃からグループワークをやることが多く、ブレストのような発散させる場面、KJ法のような収束させる場面に恵まれています。けれど、どれも単発で終わってしまいます。

アイデアソンはまさに“アイデアのマラソン”。富士通グループの皆さんと一緒になって、アイデアをふくらませたり、異なる視点から磨いたりと「発散」と「収束」を繰り返してきました。そうして鍛えられるプロセスは、彼らにとっても初めての経験だったのではないでしょうか。

産学協働の取り組みとしてここまでやるのは、日本でも初めての試みともいえるかもしれません。ここで終わりにするのではなく、これからもどんどん経験を積ませてもらいたいです。
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2時間にわたって行われた発表会。受賞が叶わなかったチームもありましたが、私たちに壮大な夢を語った学生たち。皆、真剣な表情で目をキラキラと輝かせて取り組む姿勢に、私たち社員も学ぶものが多くありました。

富士通では、本プロジェクトを契機に、大学と企業のコラボレーションをさらに深め、新しいかたちの産学連携と、社会イノベーションの共創に向けてチャレンジしていきます。

【佐々木教授プロフィール】
佐々木宏(ささき・ひろし)
立教大学経営学部経営学科教授。経営情報論を専門とし、eマーケティング、マーケティング・リサーチ、IT経営、eビジネス、ITイノベーション、情報サービス産業、Web社会など、「情報」をキーワードに事業戦略、マネジメント・システム、組織間関係、社会構造などに関する広範囲な現象を研究対象にしている。