状況に応じて同じ車を「バス」にも「タクシー」にも使える新しい仕組みとは

急いでいる時に限ってバスが来ない…乗客のニーズに応える技術とは

バスやタクシーといった公共の乗り物は、私たちの生活に密接に関わっています。しかし、時間帯によっては混んでいたり、なかなか来なかったりすることもしばしば。終電・終バスが早い地域もありますし、バスの本数が極端に少ない地域もあります。時間に余裕がある時はバスでもいいけれど、にわか雨に降られた時などは、お金がかかってもいいからタクシーに乗りたい。どの乗り物に乗りたいかは、時と場合によって違うはずです。

それなら、乗客の都合に応じて、同じ車を「タクシー」と「路線バス」のように自由に切り替えできないか? そんな発想から生まれたのが、富士通研究所が米マサチューセッツ工科大学(MIT)と共同で開発した「オンデマンド交通運行技術」です。

乗客のニーズに合った配車で、運行事業者の利益を80%向上

この取り組みでは、運行事業者はミニバン型(もしくはタクシー型)の車両を使ってサービスを提供します。車を利用したい乗客は、スマートフォンなどを使って「出発地」「目的地」「希望出発時刻」、または「希望到着時刻」のリクエストを運行事業者に伝えると、運行事業者のコンピュータが最適な乗車便を計算し、選択肢を乗客に送り返すという仕組みになっています。選択肢は次の3つです。(料金順)

①出発地から目的地に直行する「タクシーモード」
②同じ方向に向かう乗客を順番に拾い、順番に降ろす「乗合モード」
③路線上の任意の場所で乗降可能な「固定路線モード」

乗客が目的に合ったモードを選ぶだけで、運行中の各車両に指令が伝わり、車両がやって来るというわけです。コンピュータ上では相当に複雑な計算を行っていますが、乗客からすれば料金と時刻を見て乗車便を選ぶだけですから、使い方はとてもシンプル。

この技術により、運行事業者は無駄なく車両を運用し利益を上げることが可能になります。東京近郊の都市をモデルにシミュレーションを行ったところ、タクシーだけで運行している場合に比べ、従来よりも利益を80%も上げることができました。にわか雨が降ってきた時などには、タクシーに乗りたい人が増えますが、そのような突発的な需要にも対応しやすくなるわけです。

現在、この「オンデマンド交通運行技術」のシミュレーションと技術改良を進めており、実証実験を経て、2016年度の実用化を目指しています。これからも富士通は、ICTの力を活用した豊かな社会づくりを支援していきます。