カメラで顔を映すだけで相手の「ドキドキ感」が分かる!最短5秒で「脈拍」を計測

涼しい顔の彼も撮影すると「じつは心臓ドキドキ!」

初夏を迎え、スポーツ観戦の機会も増えてきました。サッカー、野球などの試合観戦で、テレビにくぎ付けになってしまう人も多いのではないでしょうか。サッカーのゴールシーンでは、興奮して頬が紅潮し、心臓がバクバク、といったこともあるかもしれません。一般的に、興奮や緊張で顔が赤くなると心臓の鼓動も速くなると思われがちですが、本当なのでしょうか。むしろ緊張して顔が青ざめている時のほうがドキドキしているという人もいるかもしれません。また、面接試験などで、顔色ひとつ変えずに質問に答え、落ち着いて見えていても、本人にしてみれば「心臓が喉から飛び出しそうだった」というような話も耳にします。顔の色変化と心臓の鼓動、つまり脈拍とは、本当のところどんな関係なのでしょうか。

富士通は、顔の画像から瞬時に脈拍を計測する技術を開発しました。これは、タブレット端末、パソコンなどに内蔵されているカメラで顔を撮影するだけで、最短5秒で脈拍を計測できる技術です。一般的なWebカメラをテレビの上に設置しておけば、テレビを見ながら脈拍を計測し、その数値を画面などに表示することができます。サッカーの日本戦を見ながら、「涼しい顔して、じつは心臓ドキドキ」、あるいは「手に汗をかいていたけど、脈拍は安定していた」などがすぐに分かるようになるシステムなのです。

顔の色変化は脈拍と密接な関係がある?

なぜ富士通が顔の画像から脈拍を計測できる技術を開発したのでしょうか。脈拍は、人の健康状態を示す重要なバイタルサインの1つです。ところが、脈拍を正確に計測するには、専用の機器を二の腕や手首に取り付け、しばらく静止しなければならないなど、意外な手間がかかります。

富士通は、モノの性質がさまざまな光に対しどういった特性を示すかを画像から明らかにする「画像分光技術をヘルスケア分野で応用する研究を進めていました。富士通研究所の大谷拓郎研究員は、「画像分光技術の人体への応用を考えた時、わずかな顔の色変化が脈拍に影響されることがはっきりしてきました。つまり、色変化をとらえれば、重要なバイタルサインである脈拍を測定することもできると思い至ったのです」と語ります。

「顔を見れば身体の調子がすぐ分かる」時代へ向けて

この技術の特長は、

  • 「非接触」=身体に専用機器を取り付ける必要がない
  • 「非侵襲」=一般的なWebカメラで撮影するだけなので人体に影響がない
  • 「無操作」=自動で計測してくれる
  • 「高精度」=指につける脈拍計と同程度の精度
  • 「高速」=最短5秒で計測可能
  • 「連続測定可能」=カメラの前にいるだけで良い

の6つです。

この6つの特長を全て備えている技術は世界的にも珍しく、この技術を活用すれば、脈拍の変化を継続的に把握し、それが健康にどう影響するかといった予防医療の分野への応用も期待できます。

大谷研究員は「今後、実証実験を数多く実施し、将来的には、一人暮らしの方や高齢者の方々などが自宅の鏡やテレビの前に座ったらさっと脈拍が計測され、その日の健康状態がチェックされるような仕組みへと発展させたい。さらには、人の感情やストレスが顔の色変化にどう表れ、脈拍がどう変化し、健康にどういった影響を及ぼすのかまで応用研究を進めたい」とも語ります。

「顔を見れば身体の調子がすぐ分かる」時代は、もうすぐなのかもしれません。

今回の研究員
大谷 拓郎
ヒューマンセントリックC研究所
ヒューマンソリューション研究部