津波の動きを正確にシミュレーションする技術。複合災害の被害も予測可能に!

津波発生から市街地に押し寄せるまでの動きを。正確にシミュレーションし被害を予測

2011年3年11日に発生した東日本大震災は、巨大な津波が沿岸部の市街地に深刻な被害をもたらしました。この厳しい経験を踏まえ、将来の巨大地震・津波へ備える防災・減災対策の見直しが全国的に進められていますが、「津波による市街地への被害を正確に予測できる技術」があれば、より効果的な対策の検討が可能になると考えられます。

実は、津波の予測に関して、東北大学と富士通との共同研究によって開発された技術があります。東北大学には、津波の発生場所(波源)から沿岸部までの広い範囲にわたって、到達時刻や高さを予測できる二次元シミュレーション技術があり、実際の防災対策に活用されてきた実績がありますが、沿岸部や市街地における津波の挙動をきめ細かくシミュレーションすることは困難でした。一方、富士通には護岸設計などのために開発した三次元流体シミュレーション技術があり、堤防などの三次元的な形状に対する波の挙動を再現できるので、市街地に押し寄せる津波の動きを正確にシミュレーションできると期待されますが、波源から沿岸部までの広域シミュレーションにそのまま適用すると、計算量が膨大となってしまい、時間がかかることが課題でした。

200年以上かかる計算を160時間に短縮。地震と津波の複合災害の被害予測に応用

今回開発した「三次元津波シミュレーター」は、東北大学の二次元シミュレーション技術と富士通の三次元流体シミュレーション技術を融合させたものです。これにより、津波が波源から沿岸部に到達し、地形や建物によって複雑に変化しながら市街地や河川を遡上するまでの様子を、より正確に再現することが可能になり、津波が防波堤を越えて激しく打ち上がり、落下する時の衝撃力による被害などを、より正確に見積もることができるようになります。

しかも、シミュレーションにかかる時間を大幅に短縮。津波が発生してから市街地に到達するまでの計算を全て三次元流体シミュレーターだけで行うと200年以上かかりますが、「三次元津波シミュレーター」では港や湾一つ分に相当する約10km四方の津波の動きなら、160時間程度の計算で精緻に再現することができます。

今回の「三次元津波シミュレーター」の開発で、今後、巨大地震と津波による複合災害の被害予測がさらに高精度になると期待できます。富士通では、三次元津波シミュレーターを政府や自治体などへ提案することにより、今後、災害に強い国づくり、街づくりに貢献していきます。