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富士通がレタスを作っている?その最新の野菜生産方法とは

腎臓を患うと生野菜をあまり食べられない?

ご存知ですか?
実は、国内に1,300万人いる(注)ともいわれる腎臓を患う方々は、生野菜をあまり食べられないそうです。

(注)日本腎臓学会編CKD診療ガイド2012

原因は生野菜に多く含まれるカリウム。 腎臓を患うとカリウムの排泄が滞って体内に蓄積され、血液中のカリウム濃度が上昇して不整脈に陥ることがあります。そのため、そのまま生で食べるのは避けた方がよく、水に溶けやすい性質のカリウムを茹でて少なくするなど、食べるときに工夫がいるのです。
リーフレタスは、そのカリウム含有量が多い野菜の一つ。サラダでおいしい野菜ですが、腎臓を患う方々は、リーフレタスを食べる際は上記のように何かしら調理しないといけませんでした。本人も家族も、いろいろ大変だったのです。

そんな、腎臓を患う方でも、カリウムを気にせずに生で食べられるのが富士通が作る「低カリウムレタス」。このレタス、なんとカリウム含有量を約80%も低下させた画期的なリーフレタスなのです。

なぜ富士通がレタスを栽培しているのか。その想いと理由に、FUJITSU JOURNAL編集部が迫ります。

レタス栽培は半導体製造工場の建物を転用

低カリウムレタスは会津若松市にある「会津若松Akisaiやさい工場」で栽培されています。このやさい工場、実は半導体工場の空いていた建物にあったクリーンルームを転用しているのです。

なぜ、クリーンルームでリーフレタスを栽培しているのでしょう?
さっそく、工場内の様子を見学させてもらいました。

新島八重でおなじみの福島県会津若松市にある「会津若松Akisaiやさい工場」。

この「会津若松Akisaiやさい工場」は2013年から「やさい工場」として操業を開始。そして、2014年1月から大規模な植物工場として運用が始まったのです。

そもそも、なぜ低カリウムレタスを富士通が手がけるのか?
誰もが感じる素朴な疑問を、クリーンルームへ向かう道中、富士通ホーム&オフィスサービス株式会社 先端農業事業部 事業部長代理 佐藤彰彦さんに聞いてみました。

「ひとりでも多くの方に食のよろこびを、という想いで作っています。腎臓を患う方々にも、ぜひ新鮮な生野菜を食べていただきたい。そのために、ICT(情報通信技術)を活用しながら、半導体製造工場のクリーンルームを、野菜栽培に有効活用しているんです」

厳格な衛生管理を行っているクリーンルームで栽培することで、低カリウムという特徴に加え、「無農薬」「洗わなくても食べられるほど雑菌が少ない」という特徴をレタスに持たせることができるのです。

取材とはいえ、専用の作業着を着用し、厳重な殺菌消毒をして、ようやく入場が許されました。さて、さっそく入っていきましょう!

手元や足元の殺菌消毒後にエアーシャワーで除菌。

約2,000㎡のクリーンルーム内。常時天井から清潔な空気が送られ床下から吸引されるのでホコリひとつ見当たらない。

クリーンルームは、野菜が育つには心地よい春先ぐらいの室温に保たれています。もちろん天候などにも左右されません。それにしても、ここが野菜工場とは...。 長い回廊を通り、いよいよ低カリウムレタス栽培の中枢へと向かいます。

低カリウムレタス栽培スペース。太陽の代わりとなる人工光の白とリーフレタスの鮮やかな緑で幻想的な美しさ。

これがICTでコントロールされた最新のやさい工場!

厳格な衛生管理を行っているため、普段はやさいの生産に関わっている社員しか絶対入れないこのクリーンルーム。撮影のカメラがこの場所へ立ち入るのは特別の許可がいりました。

言葉や写真では伝えきれない、クリーンルームの全貌は必見です。最初で最後となる取材の模様を、ぜひ動画で体感してください!

レタス栽培のクリーンルーム内を初公開!

ホコリや雑菌を徹底的に削減したクリーンルームで栽培することで、洗わずに食べられるレタスができます。また、温度、湿度、CO2、照明などをICTで完璧にコントロールできる空間だから、高品質の低カリウムレタスを安定的に、しかも一年中収穫できます。だからこそ、クリーンルームを野菜栽培に活用するのですね。

ここで、リーフレタス栽培におけるキーポイントについて、工場で栽培されるリーフレタスを日々見つめ続ける、富士通ホーム&オフィスサービス株式会社 先端農業事業部 生産部 宮部治泰部長に話を聞きました。

「種を植えてからおよそ45日間で収穫される低カリウムレタスの生産量は3,500株/日ですね」(先端農業事業部 生産部部長 宮部治泰さん)。

画期的な低カリウムレタスは、秋田県立大学の特許と会津富士加工株式会社の生産ノウハウに加えて、富士通のICTによる高度なコントロールにより実現されたのです。通常カリウム含有量490mg/ 100g(注)のところ、なんと約80%もカットすることに成功しました。

(注)日本食品標準成分表2010

さらに、この低カリウムレタス栽培には、農業経営における富士通独自のテクノロジーも導入されています。佐藤彰彦事業部長代理の話も聞いてみましょう。

富士通の食・農クラウド「Akisai」などを語ってくれた富士通ホーム&オフィスサービス株式会社 先端農業事業部 事業部長代理 佐藤彰彦さん。

様々なセンサーを利用したセンシング技術によるリーフレタス栽培環境の一元管理。半導体製造工場の流れを汲む徹底した衛生管理。そしてICTで農業経営を効率化させる富士通の食・農クラウド「Akisai」の活用。

PCやタブレットを使って「Akisai」をコントロール。

富士通が低カリウムレタスを栽培する背景にあったのは、こういった独自のシステムを持つ強みだということが、工場スタッフの話しの端々からも、伺い知ることができました。

ICTで未来の農業は大きく変わる!

今回は関係者以外入室禁止である「会津若松Akisaiやさい工場」のクリーンルームに入るという、貴重な取材をすることができました。その中で育った低カリウムレタスの食感は、とてもシャキシャキしていて、これまでに食べたことがないほどみずみずしいものでした。
この低カリウムレタスの栽培のベースには、ICTと半導体製造工場の施設、生産管理のノウハウなど、富士通ならではのテクノロジーが存分に活かされています。

今後、低カリウム以外にもさまざまな機能性野菜を開発し、場所や環境を選ばない野菜づくりを広げていくことで、ひとりでも多くの方にICTの力で食のよろこびをお届けできるのではないかと思います。

また、工場では小中学生の見学の受け入れを実施して、最新の農業の現場や食の楽しさを伝えるなど、次世代育成支援にも力を注いでいくそうです。
さらに、会津若松の地から新たな農業の可能性が生まれることは雇用の創出など東北の復興にもつながるため、社会的に意義のあるプロジェクトとしても期待されています。

そんなICTから生まれる未来への可能性がつまった「会津若松Akisaiやさい工場」に、これからも注目していきたいと思います。

このリーフレタス、2014年5月7日から病院や企業向けに販売を開始しました。

富士通フォーラム2014 東京でもご紹介しました。

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