この商品はどれくらい売れる?需要予測シナリオを用意して小売店の在庫管理に関する利益を16%アップ

需要の変化を先読みした在庫管理がカギ

原料から製品が作られ、さまざまなサービスとともにお客様に提供されるまでの一連の流れをサプライチェーンと呼びます。このサプライチェーンをICTで最適化し、適正な生産体制の構築、余剰在庫の削減や迅速な出荷体制の確保を図ること、つまり的確なサプライチェーン・マネジメント(SCM)を実現することが、今や製造業や流通業の利益向上のカギとなっています。

SCMの中でもとりわけ重要視されているのが「在庫管理」です。たとえば家電製品を作るメーカーも、それらを販売する量販店などの流通業も、在庫をどう調整し、適正な水準に保つかに知恵を絞っています。在庫を確保しておかないとタイムリーな商品提供ができませんが、一方で保管や管理に手間とコストがかかり、時に経営を圧迫しかねません。「この商品はこのくらい売れる」と需要予測が簡単にできればいいのですが、小売店においては特売セールや新商品キャンペーン、競合製品の状況などで需要に変化が起きることが多く、「変化を考慮した高精度の予測」が難しいのが現実です。そのため、原料の発注をどうするか、生産量をどこまで引き上げるかなどの迅速な意思決定は、企業の大きな課題でした。

トータルコストを最小にして小売店の利益を改善

最近ではPOSによる商品の販売情報に加え、ソーシャルメディアなどによる商品の情報などの大量のデータをリアルタイムに収集・蓄積・分析できるツールが急速に整備されてきました。特売やキャンペーンなど不確実な要因で需要が左右されやすい小売店などにおいても、今までの勘と経験に基づいた非効率的な判断ではなく、大量のデータ、いわゆるビッグデータを活用した高精度な需要予測に期待が高まってきているのです。

富士通はこのほど、不確実な要因で売れ行きが左右される業種において、「複数の需要予測のシナリオに基づいて、一定期間を先読みしたSCM向けのモデル予測制御技術」を開発しました。あらかじめ立てた計画を逐次修正しながら、長期的な利益が最大になる発注・生産計画を立て、トータルコストを最小にする技術です。これにより、在庫保有コストや在庫切れなどによる機会損失を考慮し、また予測モデルそのものを修正することで、急激な需要の変化に対応した精度の高い計画立案や、リスクを考慮した最適な意思決定が可能になります。この技術を活用し、ある小売店の実データ(約90店舗のデータ約60週間分)で検証を行ったところ、従来の方法と比べて、全店舗の平均で約16%も在庫管理に関する利益を改善することができました。

今後、ビッグデータを活用した高度な予測分析技術と最適化技術を統合し、多くの企業の業務や経営における重要な意思決定を支援するソリューションの開発に取り組んでいきます。