低カリウムレタスを腎臓病患者に。ICTを駆使した富士通の挑戦

いま日本では、腎臓病患者の数が右肩上がり。腎臓に障害があるとカリウムの摂取制限がかかり、カリウムを多く含む生野菜などの食物を控える必要がありました。腎臓病患者の野菜不足を解消するため、富士通は低カリウムレタスの栽培に着手。半導体製造で培ったノウハウを野菜づくりに転用し、インフラ整備の構築やデータ解析による栽培の効率化など、ICTを活用した農業経営を実践しています。

国内最大規模! 2000平方メートルの低カリウムのリーフレタス栽培工場

「いつまでも健康でいたい」と、食生活に気をつかう人も多いでしょう。生野菜には、ビタミンやミネラルなど健康に良いとされる栄養素が含まれています。その中でもカリウムは人体に必須のミネラルのひとつで、高血圧の予防や腎臓に溜まりやすい老廃物の排泄に効果があるとされています。しかし、人工透析が必要な人や腎臓に疾患のある人は、カリウムの摂取制限があるために、生野菜そのものを食べることを控えなければならないこともあるのです。富士通では、そんなカリウムの摂取制限のある人たちでも安心して食べられる低カリウム野菜の大量生産にICTで取り組んでいます。

富士通では、このほど、福島県会津若松市の半導体工場のクリーンルームを転用して、2000平方メートルにも及ぶ大規模な栽培工場としました。これは低カリウム野菜の栽培工場としては国内最大規模。その栽培工場で、秋田県立大学の研究成果をもとに、栽培の実践により量産に成功している会津富士加工株式会社から技術供与を受け、低カリウム化に成功したリーフレタスの大規模栽培の実証実験を進めています。リーフレタスは、カリウムを多く含む野菜として知られ、摂取制限のある人がなかなか口にできない野菜の1つです。富士通では、全世界に約6億人とされる透析患者や腎臓病患者にも、リーフレタスをはじめ、おいしく生野菜を食べてもらいたいという想いを実現しようと、農業という全くの異分野に参入し、この実証実験に取り組んでいます。

2014年1月から量産開始。農業クラウド「Akisai」で生産性を向上し1日3,500株を出荷

この実証実験は、復興庁と経済産業省による「平成25年度 先端農業産業化システム実証事業」の一環で、富士通と地元の会津富士加工株式会社、福島県立医科大学などで構成するコンソーシアムにより実施されています。

じつは、富士通では以前よりICTで農業を支援し、生産性を高め、農業経営を効率化する取り組みを進めてきました。沼津工場では自社農場を運営し、食・農クラウド「Akisai」を活用して、だいこんやニンジンの原価や利益率を明確にし、肥料をあげる最適なタイミングをさまざまなデータから分析するなど、計画的で効率的な農場経営に取り組んでいます。今回もその「Akisai」を活用しているのが特長で、栽培データを継続的に解析して生産性を高めたり、生産から販売までを効率的に管運するといった取り組みをしています。また、半導体製造工場の運営で培ったノウハウをもとに、低カリウム野菜の栽培工場に最適なインフラ環境を整え、省エネルギー化も図っています。

実証事業の期間は2013年7月から2014年3月末まで。すでに2013年10月から低カリウムレタスの試作を開始し、2014年1月からは1日に3500株を量産し出荷します。その後、生鮮宅配や医薬品・高齢者向け用品などの配送販路を活用して、低カリウム野菜を必要とされる方々に必要なときに必要なだけをお届けするとともに、安心して購入していただくためのトレーサビリティを確立していく計画です。